（掲載日：9/2/2024）

　リンカーンスクエアで40年以上営業を続けてきた「Selmarie」は、地元の人々はもちろん、シカゴ全体で愛されてきたベーカリー・カフェでした。季節の素材を大切にしたコンフォートフードを提供する素敵なカフェでしたが、オーナーのビルギット・コバヤシ氏の引退を機に、2024年の春に閉店。その後、多くのファンの声援を受けて、同じ場所に同氏、その娘のConnieさんによる「Willow Cafe and Bistro」がオープンしました。店内の壁は、店名の「Willow（柳）」にちなんで、爽やかな「Willow Green」に塗り替えられ、心落ち着く雰囲気が漂っています。お店は噴水のある小さな広場に隣接しており、暖かい季節には、屋外からリンカーンスクエアの素敵な街並みや噴水の音を楽しみながら、優雅にお茶や食事を楽しむことができます。取材時には幸い天気が良かったので、パティオ席に通してもらいましたが、人気の屋外席は平日にもかかわらず満席でした。

　席につき、まずはシャンパンで乾杯し、ランチメニューを確認しました。スタッフによると、ペイストリー類は「Selmarie」で提供されていたものとほとんど同じで、料理も新しいメニューが追加されているものの、「Selmarie」の味や要素をしっかりと引き継いでいるとのこと。スタッフにおすすめを聞きながら、今回はChopped Salad、House Made Breakfast Quiche、そしてChicken Schnitzelを注文しました。

　House Made Breakfast Quicheは生地がサクサクで、表面は美しい黄金色に焼き上がっています。アスパラガスとキノコを使ったキッシュを選びましたが、しっとりとしたフィリングに野菜が抜群の相性で、大正解でした。サイドのグリーンサラダはたっぷりの量があり、全体のバランスも完璧です。具沢山のChopped Saladは、色鮮やかな見た目が食欲をそそります。ベーコンやブルーチーズ、グリルドチキン、ゆで卵、アボカド、オニオン、それにトマトがロメインレタスと一緒にバルサミコドレッシングで和えられており、少し甘めのドレッシングが旨味たっぷりの具材に絡んでいて、メインディッシュにもなり得る満足度の高いサラダでした。最後に運ばれてきたChicken Schnitzelは薄く叩いた鶏肉にパン粉をつけて揚げたオーストリアの料理です。揚げた鶏肉にマッシュポテトとパプリカソースがよく合い、添えてあるブラッセルスプラウトの苦味や焦げ目のついたグリルドレモンの酸味が、味の変化を楽しませてくれます。

　デザートにペイストリー類から選んだLemon Blueberry Custard Tartは、サクサクのタルト生地に甘さ控えめのレモンカスタードが絶妙にマッチしています。レモンの風味が爽やかで、生地も軽いので、お腹がいっぱいにもかかわらず、あっという間に食べてしまいました。さらに、お土産用に「Selmarie」時代から定番の人気商品のStrawberry Rouladeも注文しました。優しい味わいとボリュームが魅力的なこのケーキを、同店でも引き続き楽しめるのは、本当に嬉しいことです。

　「Willow Cafe and Bistro」では、「Selmarie」の定番メニューをしっかりと受け継ぎながらも、新しいエッセンスを加えた、さらにグルメなお料理が揃っています。また、スタッフの90％は元「Selmarie」の従業員だそうで、地元で長年愛されてきた老舗の閉店を惜しみつつも、新しいオーナーやスタッフによって敬意を持って引き継がれていることに、温かい気持ちになれるお店でした。

House Made Breakfast Quicheはサクサクの生地にしっとりとしたフィリングが最高	Chopped Saladは色鮮やかな具材がたっぷりのメインにもなり得る満足度の高いサラダ	薄く叩いて揚げた鶏肉を、マッシュポテトとパプリカソースでいただくESchnitze
ペイストリー類から選んだLemon Blueberry Custard Tartはとっても爽やか	ショーケースには「Selmarie」時代から人気のあるペイストリー類がずらり	手土産にピッタリの焼き菓子も沢山あるので便利