（掲載日：10/21/2024）

　全米最大の食の祭典、「James Beard Foundation Awards（ジェームズ・ビアード・アワード）」は、食のオスカーとも称され、レストランやオーナー、シェフに贈られる名誉ある賞です。その「James Beard Foundation Awards」で、2024年度のOutstanding Hospitality（優れたもてなし部門）に選ばれたのが、シカゴのローガンスクエアで25周年を迎えた「Lula Cafe」。今回はその「Lula Cafe」でブランチをトライしました。訪れたのは平日のお昼前にもかかわらず、店内は週末のような賑わいで、お店の人気ぶりをすぐに感じることができました。
　
　まずは、シグネチャーコーヒーのLula Cafe BlendとハウスペイストリーのBomboloneで食事をスタートしました。ブレンドコーヒーは豆の香りが豊かで、ほんのりとした酸味があり、たっぷりのミルクとの相性が抜群です。ドーナツのようなBomboloneは中にカスタードクリームがぎっしり詰まっていますが、甘さ控えめでレモンのアクセントが効いているため、意外にもさっぱりとした味わいでした。上にはクリームとナスタチウムの花が飾られており、その可愛らしい見た目と爽やかな風味が心を和ませてくれます。

　フードメニューからは、Smoked Lake Trout Scrambleと、Chickpea and Fennel Tagine、そしてMiso Glazed Gunthorp Farm Pork Bellyを注文しました。メニューに仕入れ先の農場名が並んでいるのは、さすがファーム・トゥ・テーブルのこだわりが感じられます。Smoked Lake Trout Scrambleは、たっぷりのディルがかかったスクランブルエッグに、ハウスポテトやトースト、小皿に添えられたケチャップやスパイシーソース、バター、ブルーベリージャムが付いています。クリームチーズ入りのトロトロの卵にはスモークトラウトが贅沢に使われ、ベビールッコラとディルが爽やかなアクセントを与えています。シンプルな料理だからこそ、それぞれの素材の味わいが引き立ち、ジャムやソースで好みにカスタマイズできるのも魅力です。Chickpea and Fennel Tagineは、ひよこ豆を玉ねぎや人参、フェンネル、コリアンダーなどと一緒に煮込んだもので、ゴールデンレーズンの甘さとプリザーブドレモンの酸味が絶妙なバランスを生み出しています。ベジタリアンメニューとは思えない深い味わいで、また食べたいと思い、家でも再現を試みたほどでしたが、さすがに同店のような深みのあるスープには届きませんでした。Miso Glazed Gunthorp Farm Pork Bellyは、豚バラ肉に味噌カツを思わせるような、親しみのある和の味付けがされていますが、下にはリゾット風の玄米が敷いてあり、和と洋の見事なハーモニーを味わえます。また、酸味のあるトマティージョソース、さらにはブドウの甘みが絶妙に絡み合い、ボリュームのある豚肉を軽やかに感じさせてくれるユニークな一品です。

　食事の締めには、軽めにLavender Lemon Cookieを選びました。ラベンダーとレモンの風味が爽やかで、お腹いっぱいの状態でもちょうど良いデザートでした。
　
　最後に、Lula Cafeでは、スタッフに適正な賃金とベネフィットを提供するため、レシートにはすでに20％のサービスフィーが加算されています。チップ欄はありますが、一緒についてくる黄色いメモには「すでにサービス料が含まれているため、チップはエクストラで渡したい場合のみで必須ではありません」と説明がありますので、ご留意ください。美味しい料理や素晴らしいサービスを提供するだけでなく、地元の生産者やスタッフの生活にも配慮するその姿勢に、2024年のOutstanding Hospitality受賞の理由も納得。ローカル食材をふんだんに使用し、季節感を大切にしたヘルシーで美味しい料理と、心のこもったおもてなしが楽しめる特別なお店です。

ハウスペイストリーのBomboloneは レモン風味のクリームがぎっしり	Smoked Lake Trout Scrambleはクリームチーズ入りでトロトロ濃厚です	ベジタリアンメニューとは思えない深い味わいのあるChickpea and Fennel Tagine
Miso Glazed Gunthorp Farm Pork Bellyは和と洋の見事なハーモニーが味わえます	ラベンダーとレモンの風味が爽やかなLavender Lemon Cookieは食後にピッタリ	平日のお昼前にもかかわらず、週末のように賑わっている店内