（掲載日：06/02/2025）

　今回は、レバント地方の地中海料理を味わいに、シカゴ市アンダーソンビルにあるレストラン「Fiya」を訪れました。レバント料理とは、イスラエル、イエメン、モロッコ、シリア、トルコ、パレスチナ、イラクなど、東地中海沿岸の地域で親しまれている料理の総称で、地中海料理と中東料理が融合したような、エキゾチックで奥深い魅力を持つジャンルです。お店の外観は鮮やかなターコイズブルーに彩られており、通りを歩いていても思わず目を奪われる美しさ。天井が高く開放的な店内には、中央に金色に輝く大きな薪窯が置かれ、右手にはクラフトビールがずらりと並ぶバーが設けられています。ナチュラルウッドとタイルが絶妙に調和した空間は、温かみがありつつもスタイリッシュで、ほのかに香る薪の匂いや、やさしい灯りが、まるで異国の市場に迷い込んだかのような気分にさせてくれます。

　まずは、スタッフがおすすめするアペタイザーの盛り合わせ「Salatim（サラティム）」をオーダー。ふわふわのピタブレッドを中心に、ババガヌシュやそら豆のペースト、スパイシーなハリッサなど、色とりどりのアペタイザーが9種類も並びます。なかでも印象に残ったのは、カレー風味のフムス。スパイスの香りとクリーミーな食感が絶妙で、思わず家でも再現したくなるような美味しさでした。レモンが効いた爽やかなタイプや、香辛料たっぷりのパンチのあるものなど、どれも個性的で、味のバリエーションが豊富。大人数でシェアすれば、会話も自然と弾む、楽しいひと皿です。他のテーブルのお客さんが頼んでいて、とても美味しそうだった「Kachapuri（ハチャプリ）」も注文しました。ハチャプリは南コーカサス地方・ジョージアの伝統的なパンで、舟形に成形したピザ生地のようなパンに、さっぱりとしたフェタチーズ風のチーズをたっぷりのせ、中央にはトマトソースと卵黄をトッピングして香ばしく焼き上げた一品です。見た目はシンプルながら、トマトソースととろりとした卵黄を絡めて食べると、驚くほど奥深い味わいに。ふちの部分も生地にチーズが巻き込まれているので、どこを食べてもチーズの風味を存分に楽しめるの嬉しいです。思わず写真を撮りたくなるようなフォトジェニックな一品で、視覚も味覚も大満足でした。

　同店のシグネチャーディッシュ「Oven-Roasted Cauliflower（ローストカリフラワー）」は、カリフラワーを丸ごとじっくりと焼き上げたもので、美しい焼き目が食欲をそそります。香ばしさとともに、添えられたクリームフレッシュ、スパイシーなハーブソース「ズフッグ」との相性も抜群。爽やかな辛味と濃厚なクリームのバランスが見事で、シンプルながら滋味深い味わいが堪能できます。箸休めに注文したグリーンサラダも秀逸で、レタス、ラディッシュ、クルトンに加え、フェタチーズやデーツの自然な甘み、イチジクのドレッシングがアクセントに効いています。ひと口ごとに異なる食感と風味が楽しめる、食べ応えのあるグルメサラダでした。メインに選んだ「Chicken Schnitzel（チキンシュニッツェル）」は、巨大なチキンカツにタヒニソース、サラダ、ピクルス、そしてスパイスをまぶして焼いたレモンがトッピングされ、中東らしい香りがふんわりと立ち上ります。カリッと揚がった衣とジューシーなチキンのバランスは絶妙で、爽やかさとコクが共存する味わいは、これまで食べたシュニッツェルの中でも際立つ美味しさでした。

　店内奥には、オーブンを囲むようにしてあるバーカウンター席や、ひとりでも気軽に過ごせるカジュアルなテーブル席、家族連れに嬉しいソファ席、さらには20名ほどまで利用できる個室も用意されています。また、これからの暖かい季節にぴったりのパティオ席も用意されていますので、様々なシーンに応じて柔軟に対応できるレイアウトも、このお店の大きな魅力のひとつです。

ババガヌシュやそら豆のペースト、スパイシーなハリッサなど、色とりどりの前菜9種類が試せるSalatim	ジョージアの伝統的なパンKachapuriは、パン生地にたっぷりのチーズ、トマトソース、卵黄をのせて焼いたもの	同店のシグネチャーメニューのOven-Roasted Cauliflowerは、シンプルながら滋味深い味わいを堪能できます
巨大なチキンカツにタヒニソース、サラダ、ピクルス、スパイスをまぶして焼いたレモンをトッピングしたChicken Schnitzel	レタス、ラディッシュ、クルトン、フェタチーズ、デーツを合わせた豪華なグリーンサラダ。イチジクドレッシングが美味	天井が高く開放的な店内には様々なシーンに利用できるシートや個室が用意されています