医学誌「Journal of Experimental Psychology:General」オンライン版に2012年3月5日に掲載された、ポワティエ大学のFrederique
Autin博士の研究で、「子供の成績を向上させるには、プレッシャーを与えるよりも、学習には失敗はつきものだと言い聞かせ、自分に対する自身を持たせる方が有益である」と報告しています。
このフランスの研究では、当初小学6年生111人を被験者とし、全員が正解できない難問を与えて回答させた後、研究者は子供たちに問題が非常に難しかったことを伝えます。次に、被験者をAとBの2群に分け、A群には「学習することは大変なことであり、失敗や間違うことがあっても当然で、自転車に乗り始めのころには失敗しながら練習するのと同じで、練習し訓練し続けると、失敗の体験も助けになり出来るようになる」と論し、反対に、B群には、「どんな方法で問題を解こうとしたのか?」という質問のみを与えました。
その後、全員に記憶力で学習能力・達成力を予測する(作業記憶)の要領を測定する目的の試験を実施したところ、A群の結果はB群のよりも好成績であり、かつ作業記憶試験にのみ参加した別の比較対照群よりも好成績でした。別の小学6年生199人を被験者として同様の方法で試験を実施したところ、やあり学習には間違いがつきもので、失敗は当たり前のことだと教えられた子供たちは好成績であり、失敗しても自分がダメであると感じることが少ないことも判明しました。
Autin博士は、「子供の頃、低学年ではより失敗や間違いが多いものだから、親や教師は、目先の結果のみに囚われて単に一生懸命努力して良い結果を出すようにプレッシャーを与えるよりも、子供の成績を伸ばしたいならば、多少の間違いがあっても学習に失敗はつきものだと言い聞かせ、自分に対する自身をうえつけるという、子供たちが試行錯誤できる余地を心理的にも十分に与えるように留意して指導すべきだ」と述べています。