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『アメリカ人とは政治と宗教の話をしない方がいい』なんて良く耳にしますが、
アメリカ人を知れば知るほど、この「宗教」がヒッジョーに大きなバックグラウンドを占めているのに気づく方も多いのでは?そういえばこのアメリカ新大陸にピューリタン達がやってきたその理由も「宗教の自由」でしたっけね。今月と来月のホクホクは、普通の生活上で知っておいて損はしない「アメリカでの宗教基礎知識」をご紹介。
まずまず、国民の75%ほどを占めるだろうと言われているキリスト教。大まかに「カトリック」と「プロテスタント」に分けられる所まではご存知でしょうが、さてどんな違いがあるのでしょうか?アメリカでのカトリックはローマンカトリックと呼ばれ、ローマ教皇が圧倒的な権力を持ち、その他聖職者を中心(公用語はラテン語!)に、古?い儀式を重んじる傾向あり。去年バチカンでヨハネ・パウロ2世が亡くなり大きなニュースとなったのはまだ記憶に新しい所。司祭は男性のみ、神父様が存在し教会の中には聖人達の像が並ぶ。洗礼は幼児の時に行い、離婚や計画妊娠は御法度(一応)、、、とまぁこんな感じ。
「こんな古い考え方でやってられるか!」と言ったか言わぬか、ドイツ人のマーティン・ルターが出没、歴史の教科書でもおなじみの「ルターの宗教改革」を行ったのが1517年。これが「プロテスタント」の始まり、始まりぃ。英語の「プロテスト(抗議)」という意味があり、カトリックのコンサバ的な信仰方針から抜け出した、という訳。教皇や聖職者との関係よりも、神様への直接的な信仰と聖書が大事、という考え方ではじまったルーテル派、それからいろいろと発展し、長老派(=プレスビタリアン:スイスの神学者のカリバンが伝道。かなり徹底した聖書主義)、聖公会(=エピスコパル、アングリカン:英国教会がルーツ。礼拝スタイルはカトリック似ている)、メソディスト派(結構保守的で敬虔な人多し)、バプティスト派(特に南部ではゴスペルなど情熱的な礼拝スタイルを持つ)など、また小さい団体も含めるとその数は1000を越すと言われています。
プロテスタントの洗礼は「自分が準備ができた時」でオッケー。「牧師様」達の中には女性もいる宗派も多々あり。“元ラッパー“のMCハマーちゃんが牧師になって説教したり、RBばりばりのゴスペルが聞けたり、とかなりエンターテインなのも1部のプロテスタント教会の特徴。そうそう、スーパースター並みのクリスチャンショー(ベニー・ヒンとか)をテレビで放映するのはペンテコスト派やバプティスト派に多いらしい。歩けない人が急にステージ上で歩き出しちゃったり、はたまたロックバンドまがりのクリスチャンバンドが飛んだり跳ねたりして礼拝してたり、、、ようはバラエティにとんでるんですね、プロテスタントは。
日本では「ハンサム外人さんが自転車にのって伝道中」のイメージの高いモルモン教、これはユタ州を中心とするLDS(Latter
Day Saints)と呼ばれる宗派。カフェインやアルコールを取らない、と言った規則があったり、はたまた一部のモルモン教徒の中では「一夫多妻制」が行われているとか。
今でも「電気、ガスを利用しない、電話もなし。自給自足で生活」を守るアーミッシュの方々。酪農や家具作りで生計をたてていて、ペンシルバニア州を中心に生活中。公用語はドイツ語(なので、またの名を“ペンシルバニア・ダッチ=ドイツ語”と呼ばれる)、近代化は×、ピュアな信仰心はピュアな生活から、を重んじるユニークな宗派。
ペンシルバニアでもう一つ、クエーカー教が根強く残っています。クエーカーと言うとオートミールや車のオイルのイメージ。シリアルの箱でにっこり笑う黒い服着たおじさん、彼はクエーカー教徒の伝統的な装いをしています。この宗派を信じて育ったウィリアム・ペン、彼が新大陸で選んだ土地をペンシルバニア(ラテン語で“ペンの森”という意味)と名付けられたという訳。「フレンズ信仰」で有名な信者達はとても穏やか&勤勉で「平和」を第一に考える人たちとして知られています。
次回はキリスト教系以外のアメリカで良く耳にする宗教を説明しましょう。
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