あっという間の春到来! 新緑の色が広がり始め、ルンルンにさせてくれる季節です。さて、今月の『アサコ先生にちょっと聞いてみよう!』パニック障害について取り上げてみました。
★読者Tさんからの投稿…はじめまして。駐在員としてアメリカに住んで3年が経ちます。以前から不安に駆られる事が多く、日本で5年程前に心療内科の先生から不安症のお薬を頂き服用していました。アメリカに来る前に飲むのを止めましたが、また最近、胸がドキドキしたり、呼吸が早くなり、息苦しかったり、冷汗、手足のしびれ、胸がぎゅーっと締め付けられたり、意識がもうろうとすることがあります。ここ半年で何度か発作の様な物が起こりました。心配になり、精密検査をうけましたが、なんの異常もないとの事。パニック障害だと診断されました。これは治るものなのですか?
それとも一度診断されたら治らないのでしょうか? いつパニックがやってくるかわからなくて不安です。
最近、パニック障害やうつ障害についての記事をよく見ます。それだけこの障害に苦しんでいる方が増えているのでしょう。一言でTさんのご質問にお答えすると、「パニック障害は治ります」。でもきちんとパニック障害について理解をしたうえで、日頃からのストレスマネージメント、歪んだ思考の切り替え、健康的な生活パターンの習慣化などが必要になります。まずは、これは珍しい病気ではなく、誰でもがかかうるものだと理解して頂くことが大切です。
パニック障害の特徴はいくつかあります。1.繰り返して起こるパニック発作、2.発作が起こるかもという不安(予期不安)、それに伴う3.回避行動(広場恐怖)が病気の特徴です。
1.パニック発作
Tさんが経験している‘心臓発作かもしれない’という症状は「パニック発作」です。胸がドキドキしたり、冷汗、手足の震え、呼吸が早かったり、息苦しい、死への恐怖など。症状は10分以内にピークに達し、数分から一時間以内におさまることが殆どです。Tさんの様に病院で精密検査をしてもらってもなんの異常もなく、病院の先生からは「ストレスから生じたもの」と言われたという患者さんは少なくありません。
2.予期不安
「予期不安」とはいつパニック発作が起きるかと予測をし不安を感じてしまう事です。パニック発作にはこの予期不安の症状が必ず伴い、発作を繰り返すたびに不安が増し症状も悪化し易いのです。そして不安的な思考(このまま死んでしまうのかな?狂ってしまうのだろうなど)により、余計に不安に駆られてしまうのです。
3.広場恐怖
「広場恐怖」とは、あの「場所」に行ったらまた発作が起きるのではないか?という不安です。「広場」を恐がるということではなく、パニックを起こしたことのある特定の場所や状況を避けるようになることをいいます。例えば人ごみの中、高速道路での渋滞、美容室での椅子、飛行機・バス・電車の中、エスカレーター・エレベーターの中、スーパーでのレジ待ちなどです。
パニック障害の原因はこれ!と断定できないのですが、その要因として、脳の不安神経の気質の異常、遺伝体質やストレスとの関係などが挙げられています。パニック障害が慢性化していくとうつ病になりやすいとも言われています。
一般的な治療方法は、認知行動療法などのカウンセリングを通して、ストレスマネージメント、生活のリズムや食生活の変化、セルフケア(睡眠時間、運動)、コントロールスキルマネージメント(歪んだ思考・感情)を学びます。また、リラクゼーションや呼吸法のスキルなども身に着ける事が必須となります。同時に、お薬を服用する事で、パニック発作などの症状をを減らす事が可能となります。このパニック障害はもちろん治る病気ですが、日頃から上手にストレスと付き合いながら自分を大切にしていきパニック症状を減らす事で、パニック障害も治り易いと言う事を理解してもらえたらよいのではないかなと思います。
これからもどんどんとご質問・ご希望などをお気軽にお寄せください。