今回の特集はシカゴに長くお住いの方でも意外と知らない面白いシカゴ情報ばかりを集めてみました。「え?あれってそうだったんだ!」とか、「知らなかった〜」と唸って頂けそうなネタばかりを編集部の先輩とたまちゃんがお届けします。是非ご賞味ください!
●たま:先輩、おはようございます!さっき編集長の部屋に呼ばれてたみたいですけど、今月の特集のトピック決まったんですか?
■先輩:うん、今回はちょっといつもと違った感じで、「こんなシカゴご存知でしたか?」っていうテーマで、シカゴに最近来られた方は勿論、長く住んでいる人でも意外と知らない不思議な事やおかしな物を紹介して欲しいんだって。
●たま:なんかざっくりしたトピックですね。
■先輩:うん、例えばハイウェイの横にあるあのドーム型の建物あるでしょ?あれは冬の間に除雪の時に使う塩の貯蔵庫なんだけど、初めてあれを見た人は「なんだろう?」って思うじゃない?最近は暖冬だったし、シカゴ歴が数年になった人でも知らない人がいるんだって。
●たま:なるほど。。。いやいや、思い出しました!先輩ッ!私がシカゴに来たばっかりの時、あれは某秘密結社の諜報施設で、中にスーパーコンピューターが入ってるって大嘘ついたでしょ!おかげで後で大恥かいたんですよ!
■先輩:ははは、そんな事言ったっけ(笑)?そりゃ悪い事をしたね。でもなんであの建物がドーム型になってるのか知ってる?
●たま:それはやっぱり雪がつもりにくいから、ですか?
■先輩:勿論それもあるんだけど、あのドーム型にすることで内側に柱をつくる必要が無くなるんだ。除雪で大忙しの時はあの中を複数のトラックが走り回るので、その時に邪魔にならない構造になってるんだね。そして、夏の間に塩を積み上げる時は、ベルトコンベヤーで建物の中央に塩を上から落としてやる事で三角錐の塩の山が出来るんだけど、そのカタチを考えても非常に効率の良い形というわけ。
●たま:へ〜、なるほど。柱を作らないための形状ということなんですね。なるほど、そういう感じのものを色々紹介していくって事ですね。変な建物って言えば、ナイルズにピサの斜塔がありますよね。車で走ってると突然出てきて最初はビックリしたんですけど、ちゃんと見に行ったことがなくて。
■先輩:あるある!あのYMCAの横のやつね。あれ、正式名称は「ナイルズの斜塔(6300
Touhy Ave, Niles, IL 60714)」って言って、イタリアのピサ市にある本家の半分の大きさなんだって。本家が出来て600年後の1934年に突然建ったそうだよ。ちなみに、あれ単なるモニュメントじゃなくてちゃんと役割があってね、近くにあるプール用のウォータータワーなんだって。
●たま:え!そうなんですか?しかし、何故ナイルズにピサの斜塔のレプリカが。。。
■先輩:これがなかなかおかしな話でさ。設計者はあそこに公園とプールを整備する際に必要になったウォータータワーをなんとか隠したかったみたいなんだ。で、その彼がガリレオに心酔するほどの天文ファンだったこともあって、あんなカタチにデザインしたという話だよ。
●たま:そ、それだけですか?!そんなのピサ市からクレームつかなかったんですか?
■先輩:そこがイタリア流のユーモアというか、懐の深さなんだろうね。あの建物の事を知ったピサ市はなんと1991年にナイルズと姉妹都市になってるんだ。まさにお墨付きになったってことだね。それを機に噴水を増設したり、当時はイタリアからミュージシャンを呼んでコンサートやったり、この一帯で大ブームになったらしいよ。
●たま:なるほど〜、あれはウォータータワーなんだ。あ、ウォータータワーっていえばもうひとつ思い出しました!先輩、街中にあるウォータータワーは天井に穴が空いていてそこから雨水を貯めているんだって嘘ついたでしょ!あれも赤っ恥かきましたよ!
■先輩:え〜!?俺そんな事言ったっけ?俺、ひどい奴だね(笑)。
●たま:そうですよ。でもウォータータワーもスマイルフェースがペイントされていたり可愛らしいデザインのものがありますよね。確かローズモントのウォータータワーはバラがペイントされてます。
■先輩:そうそう。世の中には面白いウォータータワーを求めて全米を旅行している人たちもいるくらいだからね。で、たまちゃんに嘘っぱちを教えてしまったあのウォータータワーだけど、仕組みは分かった?
●たま:はい。親切な方にきっちり説明して頂きました。ウォータータワーの近くには必ず給水ポンプ施設があって、そこで毎日水をタワーの中に汲み上げてるんですよね。一般家庭よりも高い所にあるから家庭の蛇口をひねると同じ水圧で水が出てくる仕組みなんだとか。
■先輩:その通り。日本でも高層ビルなどのてっぺんには同じような高架水槽と呼ばれるものが設置してあって、そこからビル全体の水を供給していることもあるけど、それ以外でアメリカのような巨大なウォータータワーを使っている所はあまりみないね。日本では給水所からある程度の水圧をかけて一般家庭向けにポンプで水を送り出す仕組みを取ってるんだ、だから大きな停電があると水の供給がストップしてしまうこともある。そこは電力が安定供給出来る日本ならではと云うところかな。この一帯にあるウォータータワーは、デザインの際にそれぞれの供給エリアの約一日分を貯水できるようにしているから、例え停電で給水ポンプが止まってしまっても、少なくとも一日は蛇口をひねればライフラインであるお水が出てくるんだ。
●たま:シカゴの郊外はそれほど高い建物が無いからウォータータワーの方が経済的で信頼度の高い給水方法なんとその方は仰ってました。
■先輩:そうだね。ところで水の話になったけど、実はシカゴの水道水の水質ランクはアメリカ国内でも高い方なんだそうだよ。理由の一つはミシガン湖のネイビーピアのすぐ北にジャーディーン浄水所という世界最大級の浄水システムがあるからなんだって。
●たま:へ〜、シカゴの水道水って水質が高かったんですね。
■先輩:ただ、ジャーティーン浄水所の設備がどれだけ良くても、シカゴ中を走っている水道管自体はかなり老朽化が進んでいるのも事実なんだ。だから、場所によっては水質に難のあるところもあるからやっぱり飲料水としてはボトルウォーターや蛇口にフィルターを付けるのが安心だね。
●たま:なるほど。ところで先輩、シカゴリバーの水が逆流しているって聞いたことがあるんですけど本当ですか?
■先輩:そうそう、よく知ってるね。もともとシカゴリバーの水はミシガン湖に流れ込んでいたんだけど、19世紀の爆発的な人口増加で公害問題が勃発してね。ミシガン湖の水を飲料水としていた当時の人達の間で腸チフスやコレラが蔓延してしまったんだ。その解決策として当時のエンジニア達が考えたのがなんとシカゴリバーを逆流させるミシガン湖の浄化作戦だったんだ。8年かけて途方もなく壮大な工事をやり遂げたことでシカゴの水質問題は無くなったと言われていて、今もその名残でシカゴリバーの水はミシガン湖から逆流してミシシッピー川に流れ込んでいるってわけ。
●たま:へえ〜。。。でもその汚水は結局。。。
■先輩:うん。その通り、おかげでセントルイスの人たちはひどい目にあったと聞いているよ。その辺りは歴史を調べてみてね。
たま:そうします。ところで先輩、「オバマのキス岩(Obama
Kissing Rock:53rd & South Dorchester)」って知ってます?サウスサイドのシカゴ大の近くにあるんですよ。53rd沿いだったと思います。
■先輩:え〜?何それ?知らないよ。
●たま:オバマ大統領がミシェル夫人との最初のデートの時に初めてキスをした場所がアイスクリーム屋さんだったのでその場所に設置されたんだそうです。雑誌のインタビューでファーストキスについて聞かれたオバマ大統領は「チョコレートの味だった」って笑ったそうですよ。
■先輩:へ〜、オバマ大統領らしいエピソードだね。写真撮影にも良さそうだね。
●たま:写真撮影といえば、最近インスタグラムでも流行ってる人気のシカゴスポット、「モンスターのドア」って知ってます?
■先輩:え?なになにモンスター?全然知らないよ。
●たま:へへへ、先輩でも知らないことがあるんですね。えっへん。ニア・サウスにビッグモンスタートイズ(21
S Racine Ave)っていうオモチャ屋さんがあるんですが、そこの入り口の写真がこれです。
■先輩:おお、でっけ〜!高さ15フィートくらいありそうだね。あ、なるほどこのドアの向こうからモンスターが覗いてるんだ。
●たま:そうなんです。ドアノブもこんな風に大きいので、大人でもこのドアの前に立つと小人になったような写真が撮れるってわけです。でも実際にはこのドアは壁に描かれているだけで、本当には開閉しないんですけどね。あと、シカゴっぽい写真で有名な場所と言ったらオズパーク(2021
N Burling St)ですかね。
■先輩:オズの魔法使いの登場人物4人の銅像があるところだね。確かリンカンパークだったっけ。あの銅像にある立て札に書いてあるQCコードをスマホでスキャンするとドロシーやライオンから電話がかかってくる仕組みになってるんだよね。確かに記念撮影をしている人を見かけるね。
●たま:ええ。オズパーク自体は結構前からシカゴの新しい名所の一つとして有名になってますが、何故オズパークがあそこにあるかご存知ですか?
■先輩:おっと、それはちゃんと知ってるよ。オズの魔法使いの作家、ライマン・フランク・ボームがあのエリアに住んでいたんだよね。
●たま:そうです。さすがですね。あと、確か最初のサイレント・ムービー版のオズの魔法使いもシカゴで撮影されていることもあって、世界中のオズの魔法使いファン達があの公園で毎年フェスティバルをやっていたんだそうです。で、それに因んで銅像が設置されることになったみたいですね。
■先輩:なるほど。ところで、あの銅像のおしゃべり機能なんだけど、あれ実はオズパークだけじゃなくって、シカゴ中の色んな銅像や彫刻が喋る仕組みになってるの知ってる?Statue
Stories Chicago(www.statuestorieschicago.com)っていう取り組みで、リンカーン・パークのリンカーンやフランクリン、プラネタリウム前のコペルニクスなどの銅像やミレニアムパークのクラウド・ゲートやシカゴ美術館前のライオン像までもが話をしてくれるんだ。しかもその内容がかなり凝っててね、著名な作家がシナリオを書いていたり、本物の俳優や声優さんが声をあてていたりするんだ。最近はシナリオの一般公募なんかも始めていて、これからもドンドン広がって行きそうだね。
●たま:私もあのデイリープラザ前のピカソ像が話しかけてくれた時は驚きました。ところで、オズパークっていうと近くにChicago
Pizza And Oven Grinder Co.(2121
N Clark St)っていうピザ屋さんがあるじゃないですか。あのピザをひっくり返したようなパイ風のピザが有名なお店。あそこのレストランのすぐ前が、アルカポネがセントバレンタインの虐殺をやった場所だそうですね。最近教えてもらったんですけど、意外と身近な場所にあってビックリしました。
■先輩:そうだよね。それにアル・カポネって言えば、彼の住んでた家がまだサウスサイドに残ってるって知ってる?数年前に売りに出されたんだけど、その時はまだ買い手がついてなかったな。今は住んでいる人がいるかも知れないから詳しい住所は教えられないけど、ネットで調べたら直ぐに出てくるよ。
●たま:有名人の家といえば、ウォルト・ディズニーが生まれた家がシカゴのノースサイド(2156
N Tripp Ave)にありますよね。ヘルモサっていう小さなネイバーフッドで、最近購入した人が博物館にするために動いているというニュースを見たことがあります。
■先輩:ほかにもシカゴで生まれた著名人は沢山いるけど、ハリソン・フォードなんかもその一人だね。彼はパークリッジにあるメイン・イースト高校を卒業してるんだけど、同じ高校を卒業しているもう一人の有名人が。。。
●たま:ヒラリー・クリントンですよね。あの二人ってまさか同じ時期に学校行ってたりしませんよね?
■先輩:そうだと凄いんだけどね。実際にはハリソン・フォードはヒラリーより5才年上なんだそうだよ。ちなみにヒラリーが子供の時に住んでいたパークリッジの家はまだあるよ。彼女の名前にちなんで、その一帯はロドハム・コーナーって呼ばれていて、ちゃんとストリートサインも出ているんだ。そういえば、『家』で思い出したけど、I-94で北向きに走ってると、右側に大きなピラミッド(goldpyramid.com)があるの知ってる?
●たま:はいはいはい!見たことあります。ピラミッドの横に大きなエジプトの像があるあれですよね。何にも無い所に突然出てくるから初めて見た時「うぉっ!」ってなりました。
■先輩:分かる〜。マジで「うぉっ!」ってなるよねえ。しかも結構一瞬だから、「あれ?今右側にピラミッド無かった?」って言っても同乗者に笑われたりする事があるんだよなあ(笑)。あれ、実は個人の家なんだよ。
●たま:え?博物館とかじゃなくって「お宅」なんですか?
■先輩:うん。あれは1977年にジム・オナンっていうピラミッドパワーの虜になった実業家が自分で建築したものなんだ。最初は家の庭に小さなピラミッド型の小屋をつくって、その中で植物を育てたら普通の3倍早く成長したらしく、こりゃ自分の家も。。。って事らしいよ。あれ、6階建てで、なんと表面は24カラットの純金でコーティングされてるんだって。
●たま:ほ、本物の金ですか?!凄い。あれかなりのサイズですよね。
■先輩:うん、ギザの本物のピラミッドの1/9のサイズらしい。もうジムさんは亡くなっちゃったけど、彼のお子さん達の話によると、マイケル・ジャクソンがミュージックビデオのロケ地にするのにアプローチしてきたとか、モハメッド・アリが自分のトレーニングジムにする為に売却話を持ちかけたとかいう話もあるんだって。
●たま:もしかしたらあのマイケルのブラック・オア・ホワイトのミュージックビデオに出てたかも知れないって事でしょうか?
■先輩:そうかも知れないね(笑)。ちなみに、いつもではないんだけど、毎年4月から10月の間に週に一度だけツアーもやってるみたいだから、たまちゃんもピラミッドパワーを感じに行ってみたら。
●たま:面白いかも知れませんね〜。次のはかなりの小ネタになっちゃうんですけど、像といえば、さっき紹介したオバマのキス岩のあるハイドパークの近くにオークウッドビーチというのがあるんですが、ここに『シークレット・マーメイド』っていうのがあるんですよ。なんでシークレットかって言うと、実は地元の4人組がゲリラ的に近くのバーナムパークという公園に置かれていた岩を彫って他の岩と一緒に紛れさせていたからなんですね。
■先輩:ええ?勝手に造っちゃったってこと?
●たま:そうなんです。それがずっとバレずにその公園に隠されていたんですけど、2000年に発覚。当時はちょっとした犯人探しで地元メディアが盛り上がったみたいです。で、結局一度は撤去されたんですが、地元の人達の熱望もあって、マーメイドにはビーチがいいだろうってことでオークウッドパークに移転して設置されることになったんです。ただ、相変わらず結構わかりにくい所にあるので、子供さんと行った時は、宝探しならぬマーメイド探しをしても面白いですよ。
■先輩:なんかそういうアバウトなところがシカゴアンのいいところかもね。そういえば、今たまちゃんバーナムパークって言ったよね。それってあのプロモントリーポイントのあるバーナムパークのことだよね。
●たま:そうです!シカゴ郊外の人たちには少し馴染みの薄い公園ですが、色んなメディアでもシカゴで一番シカゴの高層ビル群がキレイに見える場所として選ばれたりしているほど本当に心を洗われるような景色を楽しめる公園ですよね。
■先輩:あそこは趣のある石灰石のブロックで組んだ半島が湖にせり出しているからそこからの景色がいいんだよなあ。夏は泳げるし、おまけにBBQもできる。確かシカゴのベストBBQロケーションにも選ばれた事があるはずだよ。
●たま:そうなんですか。それにしてもシカゴって本当に公園多いですよね。あの近くには大阪ガーデンもありますしね。あ、そっかあそこはGarden
of Phoenixに改名したんでした。最近あの一帯は再開発が進んでますよね。確かオノ・ヨーコさんがいらっしゃいましたし。
■先輩:そうそう。確かにシカゴは公園が多い印象があるね。実際、「世界の公園が充実している街トップ10」というランキングにもロンドンやパリなんかと一緒に選ばれているくらいなんだ。シカゴのオフィシャルモットーの一つは『Urbs
in horto』って言うんだけど、これラテン語で「公園の街」っていう意味なんだって。
●たま:へ〜そうなんですね。公園といえばですけど、シカゴらしい記念写真を撮ろうと思ったらクラウドやバッキンガム噴水のあるグラントパークなどの公園や、リグリーフィールドの前で撮影したりするのが定番ですけど、ちょっとありきたり感もあるじゃないですか。
■先輩:確かにそうかもね。シカゴシアターのCHICAGOって縦になっている看板の前なんかも素敵だけどもう少し違った所でも撮りたいなってことかな?
●たま:そうなんです。例えばこないだ先輩と取材に行ったリンカンパークのネイチャー・ボードウォーク。あそこで写真撮るとかなり雰囲気のある写真が撮れますよね。ああいうプロの写真家達がロケ地に使うような場所のアイデアをこっそり頂いちゃう裏技があるんですよ。
■先輩:裏技?プロが使ってるロケーションをタダでってこと?友達になるとか?じゃないよね。
●たま:検索エンジンに「Wedding
Photo Chicago」って入れるんです。そうするとシカゴ中の有名なプロカメラマン達の虎の子のお洒落なロケーションがズラリと出てきます。その中から行けそうな所を選んで写真を撮りに行くんです。
■先輩:なるほどね。(検索エンジンの結果を見て)うわ、確かにイイ写真がいっぱいだね。こんな場所があるんだ。あ、ここどこかな?メッチャカッコイイじゃん?これってシカゴ?場所書いてないけど背景にあるのはウイリスタワーだよなあ。
●たま:そこなんです、この話のもう一つの面白ポイントは。私もこの写真が前から気になってて、この写真の中にあるエレメントをベースに色々推理してみたんですよ。例えばこのウイリスタワーの向きから場所はウエストループの辺りだなとか。周りのビルの感じやグーグルマップ、最後は三角関数まで使って割り出したのがウエストループにあるメリー・バートリム・パークっていう公園のモニュメントでした。その公園で夜に撮影されたウェディング写真がめちゃくちゃカッコイイんですよ。これぞインスタ映えって感じでしょ?
■先輩:へ〜、なんか宝探しみたいで面白そうだね。ところでさっきリグリーフィールドの話がでてきたじゃない?リグリーって何の会社か知ってるよね?
●たま:勿論です。チューインガムの会社ですよね。
先輩:うん、今はね。でもリグリーって最初は石鹸屋さんだったんだ。最初は石鹸を買ってくれた人にオマケとしてベーキングソーダをつけてたらそれが評判になったのでベーキングソーダを売り始めて。で、今度はベーキングソーダを買ってくれた人にオマケとして配っていたガムの方が評判になったので、今度は自分でガムをつくって売ることにしたんだそうだよ。
●たま:へ〜、そんな経緯があったんですね。それじゃあ同じような感じでこんなのどうでしょう?消防署と言えば、上の階からガレージまであの金属のポールをつたって颯爽と降りてくるイメージがありますよね。あのポール、最初に設置されたのはシカゴなんですよ。シカゴのサウスサイドに消防署21番っていうのがあって、そこはシカゴで初めて署員が全員黒人の消防署だったそうなんですね。で、いざ火事が発生すると、そこの消防署員が必ず一番最初に現場に到着して消火作業に取り掛かってたんです。で、周りの同業者達が「どうなってるんだ?」ってことになったそうなんです。それでその人達が偵察に消防署21番に行ったところ、消防署の三階からガレージまであのポールが二本設置されていたのを発見したというわけです。なるほど、これは便利だっていうことで、それがあっという間に世界中に広まったんだそうですよ。
■先輩:へ〜、それは知らなかったなあ。それにしてもタマちゃんもシカゴの小ネタよく知ってるじゃん。
●たま:じゃあ、調子に乗ってもう一つ。エルクグローブビレッジには実際にエルク(アメリカアカシカ)が放し飼いになってるのはご存知ですよね?
■先輩:テンスケマーケットの近くのバシーウッズの一角だよね。
●たま:そうです。でも、元々あの一帯にエルクが生息していたから街の名前にエルクが含まれていると思っている人も多いと思いますが、実は「エルクグローブ」っていうのはネイティブアメリカンの言語であの一帯を示す言葉だったのが入植してきた白人にそう聞こえたからというだけなんだそうです。(諸説あり)つまりエルクなんて一匹もいなかったという話なんですよ。
■先輩:え〜、じゃあエルクは全く関係ないってこと?でもじゃああのバシーウッズにいるエルクは?
●たま:市の名前が正式に決まった後、1925年にイエローストーン国立公園から列車に乗って連れてきたエルクの子孫なんだそうです。今も3〜4年毎に追加しているそうですよ。
■先輩:なんと!完全に名前ありきで関係のないところに連れてこられたってこと?それは驚きだなあ。
●たま:ちなみに、バッファローグローブの名前の由来は本当にバッファローがいたからだそうです。今はフォレストプリザーブになっているバッファロークリークの辺りには沢山のバッファローが生息していて、それに因んでいると言われています(諸説あり)。
■先輩:う〜ん、たまちゃんの小ネタ集面白いね。じゃあ最後は僕のとっておきの「ご存知でした」ネタね。オヘア空港のターミナルって1から5まであるけど、4って無いじゃん。あれどうしてか知ってる?昔はオヘア空港にもターミナル4ってあったんだよ。
●たま:え〜、そうなんですか?てっきり国際線と国内線を区別するのに分かりやすくする為にひとつ飛ばしたくらいに思ってました。
■先輩:もともとオヘアってのはターミナル1が国際線だったんだけど、乗客数の増えた地元のユナイテッド航空がターミナル1を自社のハブにするようにシカゴ市に持ちかけたんだ。その結果、1985年にターミナル4が新しく国際線のターミナルとして増設されてね。ところが1985年から1993年の間にシカゴに来たことがある人なら覚えているかも知れないけど、このターミナル4が小さい上にとっても不便だったんだ。国際都市シカゴの玄関口としてはふさわしくないという事で、もっと大きくて立派なターミナル5が離れた場所に建てられたってわけ。
●たま:なるほど。で、ターミナル4はどこにあったんですか?
■先輩:今、ターミナル1〜3の立体駐車場があるところ、あそこがターミナル4だったみたいだね。で、ターミナル4の名前を新しいターミナルにつけてしまうと短い間でも古いターミナル4を使っていた人たちを混乱させてしまいかねないってことで、新しいターミナルは5にして4は封鎖してしまったんだそうだよ。
●たま:そっか、そう説明してもらうと腑に落ちますね。じゃあなんで、オヘア空港って言うか、おまけになんで空港コードがORDなのかについて。。。
■先輩:いやいやいや、凄いなたまちゃん!でももう紹介するスペースがなくなっちゃったよ。それはまた今度にね。
(編集部注:オヘア空港の名前の由来は第二次世界大戦のエースパイロット、エドワード・ブッチ・オヘアに因んでいます。1949年に名称が変更される前はOrchard
Field飛行場と呼ばれていたので、空港コードはその頃のORDをそのまま使っています。)
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