寒い冬だからこそ美味しく食べられる鍋料理!そんな鍋料理は世界中に存在します。今回は編集部のたまちゃんと先輩のデコボココンビが色んな国の鍋料理を紹介します。野菜たっぷりでヘルシーなだけでなく、意外とコストパフォーマンスも高い鍋料理の数々を是非お楽しみください。
たまちゃん:ただいま戻りました〜。う〜、寒い。今年は初雪も早かったし、さすがに夕方になると冷えますね。
先輩:たまちゃん、お帰り。今日は風もあるし、寒かったみたいだね。お疲れさま。実はこれから鍋の取材に行くんだけど、たまちゃんも一緒にどう?
たま:うわ!いいですね。こういう体の芯まで冷えた時はやっぱり鍋が一番!で、ナニ鍋を食べにいくんですか?寄せ鍋?石狩鍋?
先輩:ははは、鍋と言っても今回の特集はシカゴで食べる事のできる世界の鍋料理っていう特集なんだ。『鍋といえば日本』みたいなイメージがあるけど、実は世界中の至る所に鍋料理はあるからね。それを紹介しようっていう企画なんだ。
たま:あ、なるほど!世界の鍋ですか。面白そうですね。で、まずはどこに行くんですか?
先輩:まずはチャイナタウンにある『小尾羊(Little
Lamb)』。そこで今、世界中で人気を博している羊肉をつかった蒙古火鍋を食べに行こうと思うんだ。
たま:あ、そのお店聞いたことあります。確か小尾羊は日本でもお店を増やしていますよね。
先輩:そうそう。その小尾羊が去年、旧チャイナタウンの入口にオープンしたんだ。それじゃあ早速行ってみようか。
Little Lamb 小尾羊
2201 S Wentworth Ave, Chicago, IL 60616
(312) 225-0600
www.littlelambchicago.com/
たま:着きましたね。旧チャイナタウンの入口のゲート下なんて凄く立地の良い場所に出来てたんですね。まだ新しいから店内も綺麗ですし、二階にはカラオケもあるそうですよ。
先輩:そうそう。店内も広々としているしシャンデリアなんかもあってそういう所も若い人達に人気がある理由みたいだね。ところでたまちゃん、蒙古火鍋って食べた事ある?
たま:中国のあの辛い火鍋は最近ずっと流行ってましたから色んなお店で食べた事がありますが、蒙古火鍋はまだなんです。やっぱりモンゴル版火鍋って感じなんですか?
先輩:いや、実はモンゴルの人は肉をガッツリと固まりで食べる習慣があるので、蒙古火鍋みたいにしゃぶしゃぶと薄い肉を食べるのは好まないんだって。だから、蒙古火鍋と呼ばれるものは北京料理の溂羊肉(シャンヤンロー)という火鍋料理をベースに中国で創作されたものらしいんだ。
たま:溂羊肉っていうと確か日本のしゃぶしゃぶの原型といわれている料理でしたよね。じゃあ日本生まれのジンギスカン料理といい、アメリカ発のモンゴリアン・ビーフといい、私たちがてっきりモンゴルの食べ物だと思ってたものって実は違うものが多いんですね。
先輩:ははは。なんかモンゴルの人に申し訳ないよね。だから羊肉の火鍋といっても中華の火鍋との共通点は多いんだ。このお店でも通常の火鍋のお店同様まずはスープを選ぶんだけど、人気の秘密はその種類がバラエティーに富んでいること。今回はその中でもSpecial
Hot & Spicy ( Mala ) と店員さんオススメのMushroomスープの二つを選んでおいたよ。スープは一種類でもいいんだけど、どうせなら食べ比べたいよね。それから、このお店のスープはどれもクコの実やナツメといった漢方食材が入っているのも特徴なんだ。
たま:へ〜、意外とヘルシーなんですね。あとはアラカルトで食材を選ぶんですよね。まあこれまた凄い種類ですけど、やっぱり羊肉は外せませんね。折角だから何種類かある中でスプリーム(特選)にしましょうよ。あとはポークと海老、シイタケ、あ、野菜は中華野菜が何種類か入ったセットがあるのでこれどうですか。
先輩:いいね。あと、このFish
tofu(魚豆腐)っていうのを食べてみよう。実は知り合いの中国人に勧められたんだ。お、海老のダンプリンも美味しそうだな。さて、じゃあ鍋が来るまでに調味料のステーションに行ってソースを何種類かミックスしに行こう。
たま:火鍋のソースってお店に出来合いのものが用意されている事も多いじゃないですか。そういう時は失敗するのが怖くてあまり冒険しないんですけど、これなら色々試せますね。へ〜、定番のセサミソースや醤油、スパイシーソースの他にチャイニーズフラワーソースなどのソースが8種類ほど、中に入れる調味食材もニンニクペイストや葱などが6種類ほどあるんですね。いやあ、これは迷うなあ。
先輩:中国の人は、これをちょっとづつ使って自分なりのソースをつくるんだけど、一応このお店の推奨の調合方法が2種類ほど紹介されているので、そっちを参考にあとは実験だね(笑)。何種類かつくったらテーブルに戻ろうか。あ、頼んでおいたアペタイザが来てるみたい。
たま:これはMongolian
Meat Pieですね。クラストがさくっとチューイーな生地の中に豚肉と玉ねぎが入っているとってもやさしい味わいの美味しいパイです。なんか珍しい味!
先輩:こっちの餃子はポークとネギが入っていてモチモチの皮にジューシーな餡入りだ。実はこの二つともさっき話した友人が紹介してくれたマストアイテムだったんだけど、確かに美味しいね。おっとお待ちかねの蒙古火鍋の登場だ。
たま:本当だ、普通の火鍋みたいにこのお店のも鉄鍋が中央で二つに分かれているお鍋なんですね。こっちの辛い方のスープはトウガラシの数が尋常じゃないです!こりゃ辛そう!
先輩:うん、こういう太極拳のマークのように陰陽のかたちに仕切って二つのスープを楽しめるタイプはオシドリ鍋っていうんだよ。
たま:へ〜、そうなんですね。なんか可愛らしいネーミングですね。さっきから見てるんですが、ウエイトレスさんの手際がとてもいいです。質問にも親切に色々と教えてくれましたし、ここってサービスいい感じですね。
先輩:うん、おかげで直ぐにできあがったみたいだ。じゃあ早速食べてみよう!
たま:お、これが羊肉ですね。では頂きま〜す。おお、スプリームというだけあってとっても柔らか〜い。お肉に独特の香りがある分、私は辛いスープとチャイニーズパセリーなどのハーブで食べる方が美味しさが増すように思います。
先輩:そうかもね。僕の友人も羊肉は辛いスープに良く合うって言ってたな。お肉の持つ味わいが複雑に口の中で広がるね。逆に言うとこっちのあっさりしたマッシュルームスープだとそれがクサミに感じてしまうのかも知れないな。
たま:確かに。だから、豚肉なんかはこっちのマッシュルームスープの方が日本人の舌には合うかも知れませんね。う〜ん、豚しゃぶも美味しい〜。あ、でも完全に食べる順番を間違えました。先に豚しゃぶからいかないと舌がしびれちゃってます(笑)。
先輩:僕もやっちゃったかも(笑)。お肉も美味しいんだけど、他の具材もうまいねえ。
たま:分かります!先輩のお友達お勧めの魚豆腐、激ウマですよ。これはマッシュルームスープにもスパイシースープにも良くあうオールマイティー食材かも。
先輩:あと、このタロ芋も美味しくない?鍋で食べる食感は随分違うよね。う〜ん鍋料理はお肉もいいけど、野菜がたくさん取れるのがいいな。何気にこのコーンも甘さと辛さが同居してていけるよ。
たま:はい、一つ難をいうと野菜を食べる時はもっと色んなソースで楽しみたいです。そういう意味ではステーションに調味料を取りに行くのが面倒になっちゃうので、テーブルにある程度調味料セットが追加であったら便利かな〜。それにしてもこのスパイシーさ、寒い冬のシカゴには効きますね!
先輩:うん。でも中国の人達はどちらかというと鍋は暑い夏に食べるイメージがあるんだって。ガンガン汗をかきながら食べるらしいよ。
たま:ひえ〜!
たま:先輩、さっき蒙古火鍋を食べながら思い出したんですが、以前キャロルストリームにあるベトナム料理のお店に行った時に、かなり沢山の鍋料理(Hot
Pot)がメニューに載っていたのに気づいたんですよね。その時はフォーを食べに行っただけだったので、友達と二人だったし鍋は大袈裟かなと思って頼まなかったんですが。
先輩:へ〜ベトナムの鍋料理か。実はベトナム人ってかなり鍋料理が好きな民族なんだよ。ベトナムの人達も冬限定ではなくて、暑い夏に汗をかきながら鍋をつつく文化があるんだって。ストリートで屋台的に食べてる映像とか見た事ない?
たま:あります、あります。そういえばベトナム人の友人の結婚式でも鍋料理が出たのを思い出しました。
先輩:そうそう。実はベトナムには回転寿司ならぬ「回転鍋(具がコンベアで店内をグルグル回っていて、それを取って卓上の鍋で食べるスタイル)」のお店もあるらしいよ。だから2人で鍋を食べるのもベトナムではありなんじゃないかな。
たま:それは惜しい事をしました。
先輩:シカゴでベトナム料理っていうとアーガイル(リトルサイゴン)の辺りが有名だけど、郊外で紹介できるのは貴重かもね。折角だから今からそのお店に行ってみよう。
たま:はい!
Pho Le Restaurant
541 S Schmale Rd, Carol Stream, IL 60188
(630) 588-8299
たま:あ、先輩ここですよ。ほら、このメニュー見てください。Hot
Potのメニューが結構ありますよね。
先輩:ホントだ。ベトナムでは鍋料理の事をラウ(Lau)って言うんだけど、それが4種類あるし、その下にあるカインチュアっていうのも基本はスープだけど鍋料理の一種なんだよ。
たま:郊外のストリップモールに入っている小さいお店なのに鍋料理が多いって珍しいですよね。まあ、それくらいベトナムでは大衆料理ってことなのかも知れませんね。ちなみに、わたし、このラウ・タイっていうのに興味があるんですよ。さっき友人からそれがあったらお勧めだって電話があったんです。
先輩:ラウ・タイっていうのはタイ風の鍋っていう意味かな?タイの代表的なトムヤムクンのトムヤムスープを使った鍋で、確かにベトナムでは随分前から流行っていると聞いたことがあるよ。じゃあ、それをオーダーしてみよう。あと、折角なんでアペタイザも頼んでおいたよ。お、Cha'
Gio'っていうエッグロールが早速来たね。
たま:ベトナム料理というと生春巻きが有名ですけど、これは揚げてあるんですね。中身はひき肉とニンジン、マッシュルームって感じかな。具材を混ぜるのにニョクマムを使ってるから、揚げてある香ばしさはもちろんのこと、ニョクマムの香りも一緒に食欲をそそりますね。
先輩:こっちはその生春巻き、Goi
Cuonだね。豚肉のハム、サラダ菜、ハーブなど入ってるのかな。
たま:うすくてももちもちツルツルしたライスペーパーに綺麗にくるまれています。スペシャルソースとの相性もいいですね。
先輩:お、そうこうしているうちにラウ・タイの登場だ。う〜ん、この香り、レモングラスとパクチ―の香りが鼻孔をくすぐるね。どんな鍋なんだろう!超楽しみ!
たま:中華の火鍋スタイルとは違って、スープや中に入っている具材は最初から決まってましたね。えっと具材は牛肉のうす切りに、ビーフ・ボール、海老、イカ、うずらの卵、えのき、ブロッコリー、バクチョイ、にんじん、白菜というところでしょうか?ウズラの卵なんて面白いですね。あ、そろそろ煮立ってきましたよ。頂きましょうか。
先輩:うん、そうしよう。このスープはまさにレモングラスのたっぷり入った酸味のあるトムヤム・ベースのスープなんだけど、それ以外の色んな具材の出汁が出てて複雑さを増しているね。これはコクがめちゃくちゃあるよ。う〜ん、美味しい。
たま:このコクはニョクマムのおかげでもありそうですね。スープはスパイシーなんですが、決して辛すぎず適度な酸味が東南アジア料理好きにはたまりません。食欲がそそられてどんどん食べてしまいます。このうずらの卵も美味しくってはまっちゃいます。
先輩:それにしても、このウズラの卵の数、凄いね(笑)。一度にこんなにたくさんのうずらの卵を食べたのは初めてだよ。でもさ、このスープって他のものにも良く合うね。海老やイカは勿論だけど、この牛肉のうまさときたら。。。。
たま:はい、野菜も美味しくなってるし、このスープはどんな具材を入れてもよさそうです。残ったら持って帰って家で他のものも入れて試してみたいかも。
先輩:確かにこんな味わいの鍋は家ではなかなかつくれないもんね。
たま:今日はお鍋の取材だったのでオーダーしませんでしたが、前回食べたここのビーフフォーも美味しかったですよ。ちょっと米麺の量が少なめだったのが残念でしたが、しつこくないビーフエキスがたっぷりでた優しい味わいのスープのキレが良かったのを覚えています。
先輩:へ〜、この鍋にしてもホームメード感がたっぷりだし、美味しいんだろうね。でもタイ風鍋なんて食べちゃうとタイ・スキを食べたくなっちゃうなあ。
たま:タイ・スキ、、、ですか?
先輩:タイ・スキっていうのはタイ風のしゃぶしゃぶと言われる鍋料理でね、寄せ鍋みたいに海産物や野菜、肉団子など色んな具を入れて食べるものなんだ。あれをタイに旅行に行った時に現地の人に教えてもらって食べたらもうめちゃくちゃ美味しくってね。でもシカゴってタイ料理のお店がこんなにいっぱいあるのに、まだタイ・スキを出してくれるお店には出会えてないんだ。タイ料理のお店に行くたびに一応お店の人には聞いてみるんだけどね。
たま:へ〜、そうなんですか。
先輩:よ〜し、お次は韓国の鍋料理だ。韓国料理というとチゲやチョンゴルなど日本人にもお馴染みの鍋料理が沢山あるよね。
たま:はい、でも確か最近は韓国ではしゃぶしゃぶが流行ってるみたいですね。シカゴでもデスプレインにShabuyaっていう専門店がありますし。韓国のしゃぶしゃぶだと私は牛よりも豚しゃぶが好きなんですよね。私ホント、豚には目がなくて。
先輩:そうだったね。あとたまちゃんって確かタコ好きって言ってたよね?だから、今回はシャンバーグにあるKoreanaのポークベリーとタコの鍋料理を食べに行こうと思うんだ。
たま:たこ〜!やった〜!おまけにポークベリーなんてコラーゲンたっぷりじゃないですか!しかもシャンバーグなら読者も多いですし、喜んでもらえそうですね。
Koreana Restaurant
1123 N Salem Dr, Schaumburg, IL 60194
(847) 882-3690
先輩:さて、メニューにもある通り、この店では5種類の鍋料理があるんだけど、最初の3つには英語の説明があるのに、残りの二つにはないよね。このC−4っていうのが僕らが今回取材するタコとポークベリーの鍋物なんだけど、その下のC−5はコプチャン鍋といっていわゆるモツ鍋だね。あとこの二番目のプテチゲというのはインスタントラーメンを入れて食べる韓国の大衆鍋なんだよ。
たま:そうなんですか。私、Koreanaは好きで良く来るんですけどさすがにハングル文字は読めないのでその二つは何かなあ?っていつも思ってたんですよ。そっか、これがタコとポークベリーのお鍋なんですね。超楽しみです。あ、そうこうしているうちにアペタイザがきましたよ。Koreanaって手作り料理の美味しさに定評がありますが、中でも私がお勧めなのはこのイカと玉ねぎ、それから青ネギがたっぷり入ったパジュンです。
先輩:おお、凄い分厚さだね。まるでお好み焼きみたいだ。表面はカリカリに焼いてあるのに中はふっくらしてて美味しいね。ポン酢に似たようなソースとの相性もいいなあ。
たま:あとこっちのフライド・ダンプリンも豚肉やキャベツ、春雨がぎっしり入った餃子なんですが、このカリカリっと焼いてあるところがいいんです。辛さはまったく無いのでお子さんにもお勧めですね。ちょっと豆のような風味を感じる家庭的な味わいが良くないですか?
先輩:うん。本当にホームメイド感がいいね。こっちのミッパンチャン(お惣菜)も丁寧につくってあってどれも美味しい。僕はこのしし唐を炒めて辛く味付けしたものが気に入ったかも。
たま:この小豆を甘辛く炒め煮したものもしっかりとした歯ごたえが残っていて美味しいですよね。ところでさっきからメニューを眺めていて思ったんですが、ここってイカが入っているものが多いんですよね。
先輩:うん。よっぽど自信があるんだろうね。あ、お店の人がコンロを運んで来たみたいだよ。お、鍋も来た〜!すげ〜!具材が大盛りだ。
たま:お店の人の話では豚バラ肉とタコ以外には、玉ねぎ、えのき、青ネギなんかが入っているみたいですよ。
先輩:そっか〜タコってのはこの小ぶりのタコなんだね。それが沢山入っていて、お鍋が煮立ってきたころにお店の人がハサミでタコを細かく切ってくれるんだね。
先輩:お、それではいただきま〜す!う〜ん!やっぱりかなりスパイシーですね。豚とタコの出しが良く出ています。この豚肉、脂が適度にのってて柔らかいし美味しい〜!この煮込まれたスープはきっとコラーゲンたっぷりで、お肌がつるつるしてきそうです(笑)。
先輩:ホッ、ホッ!確かにアツアツでかなりスパイシーだね!でもたまちゃんの言う通りウマミが凄く出てるよ。それにこのプリプリした小ダコの味がいいねえ〜。う〜ん、うまし!
たま:いやあ、このスパイシーさとコクはやみつきになります。それにこの絶妙のタイミングで持って来てくれた炊き立てのご飯の美味しいこと!やばい、食べ過ぎちゃう〜!
たま:いやあ食べた食べた!超満足ですよ〜!
先輩:あれ、たまちゃん、携帯が鳴ってるみたいだよ。気にしなくていいから取っちゃえば?
たま:あ、すいません。あ、タイ人のお友達からテキストが入ってます。あ、先輩!ニュースです。先輩がタイ・スキを探してらしたので、知り合いのタイ人に聞いてみてたんですが、そしたら今年アルバニーパークに出来たTaste
of Thai Townというタイレストランにそれらしいメニューがあったのを見たって言うんです。
先輩:え?Taste
of Thai Town?それってあのタイ料理の超高級店Arun'sのオーナーが開けたっていう姉妹店の事じゃないかな?前から凄く興味があったんだ。よし、次はそこに行ってみよう!
Taste of Thai Town
4461 N Pulaski Rd, Chicago, IL 60630
(773) 299-7888
tasteofthaitown.com
たま:あ、ここです。えらく立派な建物ですね。入口の近くには豪勢な祭壇のようなものまでありましたよ。
先輩:実はこの建物は警察署だったのを改造したんだって。
たま:へ〜、警察署ですか。そう言われてみれば確かにえらく角ばった四角い建物ですね(笑)。
先輩:ははは、そうだね。ところでたまちゃんはArun'sは知ってるよね。
たま:勿論です。おそらくシカゴで一番高級なタイレストランですよね。一度タイの領事館の人達に連れて行ってもらった事があります。
先輩:それはラッキーだったね。さっきも言ったけど、ここはそのArun'sのオーナーがもっとカジュアルでリーズナブルなタイ料理を出す為にオープンしたお店なんだ。さっきトイレに行ったんだけど、地下にあるトイレへの階段の壁一面にミシュランの楯やトリプルAの楯なんかが所狭しと飾ってあったよ。全部Arun'sのなんだろうけどもしかしたら多すぎて飾るところがなくなっちゃったのかも知れないね。
たま:へ〜、それを聞くとなんかワクワクしちゃいますね。あ、メニューの一番最後のページにあるのがそのタイ・スキですか?
先輩:どれどれ?う〜ん、残念ながらこれは僕がイメージしてたのとはちょっと違う感じかな。
たま:そうですか。残念です。
先輩:いや、でもArun'sのオーナーがプロデュースするお店ってのは興味あるし、タイの鍋っていうのも今回の取材にはピッタリだから是非食べて行こうよ。
たま:そうですね、折角ですから色々と食べてみましょうか。アペタイザも色々と見繕ってオーダーしておきました。このミニトマトがいっぱい入ったソムタム(パパイヤサラダ)にも干し海老入りや蟹入りまで色んな種類があるみたいですね。
先輩:お、このソムタムはさすがにクオリティー高いね。このピリリと辛くて甘い食欲をそそられる美味しさはどことなく上品さがある。ピーナツの香ばしさや食感も凄くいい!干し海老がコクをプラスしているところもポイントだね。
たま:本当ですね。このお値段でこれならお得感がありますね。お次は先輩の好きなトーッマン・プラー(タイ風薩摩揚げ)です。
先輩:うん、これこれ!とってもふんわりして柔らか〜く揚がっている。サイドについてくる酸味の利いたソースともよく合うなあ。これずっと食べれちゃうよ(笑)。あ、お次はサテーも出てきたね。
たま:このサテーはカレーとヨーグルトでマリネしたチキンを香ばしく焼き上げているそうですが、ピーナツソースや酢漬けの野菜と一緒に食べても、そのまま食べても美味しいです。あ、そんな事を言っている間にお鍋が運ばれてきましたよ。うわ、これもお値段の割に凄いボリュームです。
先輩:うん、しかも具材が豪華だよ。シーフードタイプとお肉タイプがあるって言ってたから今回は海鮮版をオーダーしたんだけど、海老や白身魚、ムール貝の他にも蟹やロブスター、ティラピアなんかもたっぷり入ってるよ。
たま:勿論、空芯菜や白菜、えのきなどの野菜類もどっさりです。ほんと、これは豪華なお鍋ですね。これで18.99ドルは安いですよね。スープはトムヤム、チキン、おまけに味噌ベースの三つから選べたんですが、この間トムヤム・ベースを食べたところだったので今回はチキンベースにしてみました。
先輩:そういえばオーダーする時に辛さも選んでたみたいだけど、意外なほどこれは辛くないね。どちらかというと優しいコクのあるスープでびっくり。
たま:そうですね。私も想像していたのと随分違います。優しいスープのおかげで食材の味が生かされているので体も胃袋もあたたまります。あと、ここは麺としてうどんもついてくるみたいです。それも日本人にはいい感じですね。
先輩:うん、でもそのおかげでちょっとタイらしさがないように感じてしまうのは残念かな。普通に美味しいんだけどね。サイドにタイらしいディッピングソースでもあれば良かったのかも知れないね。
たま:なるほど、ところでここを紹介してくれた友人がデザートにはココナツミルクにはいったヤム芋が美味しいよって言ってました。温かいほっとするデザートなんだそうです。
先輩:へ〜、それはいいね。オーダーしてみよう。まあでも、どれも美味しかったよ。とっても丁寧につくってあるし、お値段もArun'sを考えるとリーズナブルだしね。ただちょっと本格派というよりはアメリカナイズされてるかな。まあ、仕方のない事なんだけど。あ、さっそくヤム芋のデザートが来たみたいだよ。
たま:へ〜、ココナツミルクの中にヤム芋で作ったおもちみたいなものがたくさん入っているんですね。つるっとしていてもちもちの食感が面白いですよ。先輩もどうですか?
先輩:どれどれ?あ、本当だ食材を生かした優しい素朴な味わいがいいね。そう、このお店のポイントってそこなのかも。どの料理もとっても味わいが優しくって優雅なんだよな。そのあたりが他のタイ料理店と一線を画しているところなのかもね。
たま:ところで、お店の人に聞いたんですけど、やっぱり彼女もお店でタイ・スキを出しているところは知らないって言ってました。ご自宅では作る事があるそうですけどね。
先輩:そっか〜、まだまだ僕の捜索は続きそうだなあ。
Asian Bistro
65 W Golf Rd, Arlington Heights, IL 60005
(847) 439-5888
www.asianbistro.biz
たま:さて、今回も色々食べて来たんですが、まだ中華の火鍋は食べてないですよね。冒頭でチャイナタウンには行きましたが、あそこで食べたのは羊肉を使った蒙古火鍋でしたし。
先輩:そうだね。最後はやっぱり王道の中華火鍋でしめたいところだね。勿論シカゴでも至る所で火鍋が食べれるようになったけど、折角だからぷれ〜り〜の読者にとっても身近なミツワ近くのASIAN
BISTROを紹介したいと思うんだ。
たま:なるほど、ASIAN
BISTROがありましたね。あそこって、郊外に住んでる中国系の人達の間でも本格的な中華料理が食べられるって有名ですよね。
先輩:そうなんだ。特に彼らの四川料理にはファンも多い。僕の知り合いの中国人も、ASIAN
BISTROの火鍋はチャイナタウンのお店の火鍋に引けを取らないって言ってるくらい。あ、着いたね。このお店では火鍋をするなら席に着く前に言わないといけないんだ。火鍋が出来ないテーブルもあるからね。
たま:これが火鍋のメニューですね。スープの種類は5種類みたいですが、全部中国語です。。。最初のは鴛鴦火鍋って書いてあります。
先輩:うん、鴛鴦火鍋の鴛鴦はオシドリって読むんだ。ほらあの例の太極拳のマークのような間仕切りタイプのお鍋のこと。だからスープの種類っていうわけじゃないんだよ。
川式麻棘火鍋
滋補養生火鍋 (洋蔘、紅棗、 枸杞、 ?耆)
酸菜魚片火鍋 (魚片、豆腐、青菜、粉絲、木耳)
麻棘魚片火鍋 (魚片、豆腐、青菜、粉絲、木耳)
ちなみに川式というのは四川風の意味。麻棘火鍋というのは中国山椒やトウガラシをベースにした鍋なのでとにかく辛いのが特徴だね。中でも重慶火鍋は世界一辛い鍋といわれているくらい。この3番目の滋補養生火鍋ってのは漢字からも推測できると思うけど滋養の為に食べる薬膳鍋で、入っているものも西洋人参(洋風高麗人参)、ナツメ、クコ、レンゲなど身体に良いといわれているものばかりなんだ。
たま:という事は、今日はどれを食べるのでしょうか?
先輩:個人的には川式麻棘火鍋を食べたいところだけど、
Asian Bistroの辛さは尋常じゃないからね。辛すぎて明日たまちゃんが欠勤したら困るから無難に鴛鴦火鍋で辛いスープと辛くないガラスープの両方を楽しもうと思うんだ。
たま:以前ここで食べた火を吹くような麻婆豆腐の辛さを考えるとそれが正解かも知れません(笑)。
先輩:鍋の種類は中国語だけだったけど、入れる具材はちゃんと英語の対訳がついてるから便利だね。シーフード類、肉類、野菜&その他って感じに分かれてて結構種類も豊富だ。へ〜、龍利魚(カレイ)なんかもあるね。あ、あと猪紅(ジュホン)もあるんだ。
たま:それだけ英語の対訳がないんですけど。。。なんですかそのジュホンって。。。
先輩:ははは、聞かない方がいいかもよ。ジュホンってのは豚の血液をかん水で固めたものなんだ。そうやって聞くと『ゲッ』って思うかも知れないけど、中国では普通にラーメンに乗せて食べたりするんだよ。でも、その顔を見る限り今回はやめといた方が良さそうだね(笑)。
たま:猪紅なんて名前だけならジブリアニメの紅の豚みたいなんですけど。。。その他にも先輩の好きそうな内臓系のモツ類が色々ありますね。
先輩:うん。ホルモン系が充実しているのは嬉しいね。このお店はディッピング用のソースが4種類くらいあるんだけど、店員さんオススメの青椒入りのソースと、辛くないソースとしてオイスター系のソースを頼んでおいたよ。
たま:さあ、お鍋が出てきましたね。辛くないガラスープのほうにはトマト、しいたけクコの実、なつめ、とうじんも入っているみたいです。辛いほうのスープは胡椒や山椒の実が入っていて口に入れると薬膳の香りが広がります。
先輩:辛いけど、体に良いものがたっぷり入っているんだね。さあ、じゃあどんどんディップして食べていこう。僕はやっぱり牛肉からっと。
たま:辛くないガラスープで茹でた野菜やお肉などは、青い唐辛子入りの醤油ソースで食べた方が美味しいですね。にんにくも利いていてスパイシーなんですが、辛すぎない青唐辛子がキリリと味を引き締めてくれます。コクのある油も入っているソースなのでまろやかさもありますし。
先輩:僕も同感だな。オイスターベースのソースは味噌のような食感で、いろいろ複雑な味がするね。ガラスープには青い唐辛子のほうが僕も好きだな。特にクレソンや豆腐などのあっさりしたものはこっちの方が合うね。あと、このライスヌードル美味しいね。これは外せない具材だな。
たま:私はやっぱり豚肉が美味しいです。豚肉もガラスープの方が風味が楽しめる気がしますね。
先輩:そうかもね。その点、僕の好きなモツ系ややっぱりこの辛いスープを使った方が適度に生臭さが落とされるので美味しさが増している気がするよ。う〜ん、やっぱり美味いなあ、火鍋!こうやって同じ鍋をみんなでつつくっていうのは素敵な文化だね。
たま:ええ、私もそう思います。今回の取材でも色んなお店でアジア系以外のお客さんがお鍋料理を楽しんでいるのを見ましたが、個人主義と思われがちなアメリカ人の間でもこういうアジア的な食事が受けているというのは、そういう部分も含めて時代が変わってきているんでしょうね。
先輩:なるほど。食を通じての文化交流ってことかも知れないね。
たま:いやあ、今回もよく食べましたね〜。もうお腹一杯です。ところで今、気づいたんですけど、何となく鍋料理って人数が揃わないと出来ない印象がありましたけど、外国のお鍋料理って二人でも気軽に楽しめるものが多かったですね。それに残ったものはそのまま持って帰って家で色々と足して食べれますし意外とコストパフォーマンスいいですよね。今回もどこのお店でもちゃ〜んと全部の具材を『お持ち帰り』にしてくれました。
先輩:そうだね。二人で鍋料理だと何となく高くなりそうな印象もあるけど、家に持って帰って材料を適当に足してけば二日分くらいの夕食になるし、そう考えるとヘルシーなだけじゃなくて、お財布にも優しいかもね。
たま:実際、今回の取材でも色々と持ち帰って自宅で工夫してみたんですが、なかなか美味しいものも出来たんですよ。日本の寄せ鍋やしゃぶしゃぶなら自宅でもなんとか作れますが、こういう外国のお鍋って自宅では調味料を揃えるだけでも大変なのでとっても楽しかったです。今回は色んな世界の鍋料理が食べれて満足です。
先輩:うん、だけど、本当はマレーシアのスチームボートとか、モロッコのタジン鍋やポルトガルのカタプラーナ、そして同じ火鍋でも台湾鍋や麻辣火鍋(別名重慶火鍋)などまだまだ紹介したい鍋料理がいっぱいあるのに残念ながら今回は探しきれなかったものも多いんだ。タイ・スキも見つけられていないしね。まだまだ取材不足は否めないよ。
たま:先輩、そんなに気を落とさないで下さいよ。もっとこれからも二人で色んな鍋料理を探求していきましょうよ。二人で、オシドリのように、ね?
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