シカゴには美味しい鍋を食べさせる店が意外と沢山あります。しかも殆どの店が一人前から出してくれるというサービスぶり。折角の冬です。お鍋とお酒を堪能しましょ!
■とにかく具が凄い桜(マンプロ)の寄せ鍋。
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桜のオーナーシェフ大槻さんに鍋の作り方を教わった |
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見よ!この豪華な具を!まぐろやアサリまで入っている |
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いやあ〜美味しそ〜!やはり冬は鍋に限るね〜 |
この時期寄せ鍋をやっているお店は多いけど、桜(マンプロ店)の寄せ鍋($19.95)ほど超豪華な具がたっぷり入っているところも珍しいだろう。勿論その日手に入る素材によって多少内容は変わるそうだが、取材班が訪れた時は、鶏肉、白菜、しいたけ、たけのこ、糸こん、豆腐、ホタテ、サーモン、海老、イカ、蟹、赤貝、まぐろ、鯛、あさり、マツタケ、焼きアナゴ、玉子焼きと、そして鴨まで!というゴージャスな具がお皿に大盛りに詰みあげられて登場した。更にこれにみつばが入るときもあればいわしのつみれを入れる事もあるそうだ。しかも単に素材の種類が多いというだけでなく、お魚などはお刺身でも食べることのできる良い素材を使っているというから驚いてしまう。
オーダーをして材料が出てきたら、自分で具を入れていく事になるのだが、鍋奉行のお友達がいないという素人さんの為に、オーナーシェフの大槻さんに美味しいお鍋作りのコツを教えてもらった。
まずダシになるものを先に入れる事。特に最初は生では食べられないものや煮えにくいものを入れる。
次に生でも食べることのできるものを入れていく、というのが基本。
上記の食材で言うと、鶏肉から豆腐までを一気に入れ、その後でホタテからアサリを順番に足していく。最後に松茸以降を入れるのだが、鴨はあまり煮込みすぎないように、食べようと思った時に入れ、まだ柔らかいうちに食べるのがコツ。またこの他にもウオータークレスト(水菜の一種)は本当に最後に入れて、火が通りきる前のちょっとシャキシャキの状態で食べるのが最高。
勿論どの具もとっても美味しいのだが、中でも鴨は温かくなって火が完全に通ったか通らないかくらいで食べると本当に口の中でとろけてしまいそうに柔らかい。大槻さんの寄せ鍋のだしはオーソドックスにコブと鰹節でとってある。お鍋の種類によってはコブだしのみの場合もあるそうだ。お鍋のだしが足りなくなったら、遠慮なく追加してもらおう。
いろいろな野菜や魚介類の味が入り混じって、だんだんウマミがでてくると、当然お待ちかねの「シメ」の時間だ。桜ではこの煮汁を使って『うどん』か『雑炊』が選べるが、取材班が選んだのは『うどん』。煮汁に三つ葉とゆずを入れてもらったお陰で香りも更に豊かになって幸せ〜な気分!確かに家でもお鍋は出来るけど、よほどの人数が揃わないとこんなに豪華な具が沢山でバラエティー豊かなお鍋は出来ない。しかも『お鍋』を楽しんだ後に、『うどん』でもにっこり。二度幸せを味わえるなんて日本人に生まれてきて本当にラッキ〜。大槻さんによると桜さんでは3日前までに予約をしておけば牡蠣(かき)の土手鍋、アンコウ鍋、鴨鍋など寄せ鍋以外のお鍋も作ってくれるそうだ。クリスマスや忘年会のシーズンに欠かせない鍋。ぜひ如何ですか?
■日本やカリフォルニアからわざわざ食べに来る人もいるという平野の鴨鍋。
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この厚さに注目〜!舌の上でトロケマス |
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これで一人前!分厚い鴨肉がたっぷり入っています |
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煮込まれてくると鴨の良い匂いが立ち込めます |
この企画の担当になる前から噂には聞いていた平野の鴨鍋($22.95)。平野というとどうしても天ぷらが美味しいので、いつも天ぷらや茶碗蒸しを食べてしまうのだが、平野の鴨鍋は知る人ぞ知る有名な料理で、ファンは日本や州外にもいるそうだ。
まずカセットコンロに火がつくと平野さん自慢のだしの入った鍋が出てくる。ちゃんと花鰹と昆布でとっただしにはミリンが少し入っている。まだ具の入る前に少し味見をさせてもらったが、スッキリしてしつこさが全くない。そうこうしているうちに女将さんが具を運んで来て下さったのだが、それを見てとにかくビックリ!鴨肉がスゴい分厚さなのだ。1センチはありそうな鴨肉はロングアイランドから柔らかいムネ肉だけを取り寄せているそうで、平野ではこの他にも特別に仕入れているインディアナの高級鴨肉を使う事もあるそうだ。
女将さんがまず豆腐からだしに入れていく。次にほうれん草を白菜で巻いたもの、タケノコ、ささがきゴボウ、長ネギ、糸こんにゃく、シメジ(日によってはエノキの時も)が入る。そして次にお待ちかねの鴨肉が入ったところで一旦蓋を閉める。ちょっと待って、蓋を開け、鴨肉をひっくり返したところに水菜をどっさり入れてまた蓋を閉じると、もうそこいら辺り鴨の素晴らしい芳香が立ち込め、周りの外人のお客さんにも羨望の視線を浴びる。そしてとうとう蓋が開き、ジャジャ〜ン!READY
TO EAT!女将さんのよそってくれた鴨肉を口に運ぶと、その柔らかなお肉は舌の上でとろけるかのよう。実は著者は鴨肉特有のクサミが苦手だったのだが、ここの鴨肉は分厚いのに全く臭みがないので、他の人たちよりも勢い良くパク付いてしまい、白い目で見られたほど(笑)。他の食材もあっさりしているのだが、鴨から出る程よい油のお陰でコクがある。特にささがきゴボウと鴨の相性は感動的。これは他州から遠路はるばるこの鴨鍋を食べに来る人がいるというのも納得。お鍋の後は雑炊にするかうどんを入れるかを選べるのだが、うどんを選ぶとオモチが付いてくる。この鴨鍋はディナーだけだが、冬だけでなく一年を通して食べられるそうだ。また、鴨鍋の他にも平野では海鮮のだしが美味しい寄せ鍋($24.95)も冬季限定で行っている。こちらもアマダイや海老などかなり豪華な素材を使っている。
この寿司ブームにあえてお寿司をやらない平野さん。それについて伺うと「私は寿司職人ではないですから、自信を持ってお出しできるもの以外は出せないんですよ」とニッコリ。鴨鍋はそんな平野さんが自信を持って出せる一品というわけだ。
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