〜 『食べる』を考える 〜
『子ども達と食べなさい。』とおじいちゃん。畑でとれたトマトくれました。ずっしり重い真っ赤なトマト。太陽の光とおじいちゃんの愛情をたっぷり受けた特別品です。子ども達と一緒に食べようと、ピクニックテーブルの上で切り始めると、周りで遊んでいた子ども達がにこにこしながら寄ってきます。トマトが苦手な子ども達も、周りのお友達が食べているのを見て、『先生、ちょっとだけちょうだい。』と手を伸ばします。
しばらくすると、『先生、僕も切ってみたい。』男の子が寄って来ます。
『いいよ。いいよ。やってみよう。』子ども達の手を握り、ゆっくり、ゆっくりトマトを切りました。自分で切って、食べる。とてもシンプル。でも本物の体験。『さぁ、今日は野菜を切ります!』と子ども達にさせるのではなくて、子ども達が興味を持つのを待つ。そして『やってみたい!』と思う時にさせてみる。小さな、とてもシンプルな体験。でもこのような本物の体験の積み重ねが、子ども達の心の中に食べる喜びを与えてくれるのです。
先日、ニュースで現地校のランチプログラムの事が取り上げられていました。アメリカでは肥満の子ども達が増えるのを防ごうと、公立校のランチは健康的なメニューに見直され、カウンターには野菜や果物を並べ、食育に国全体で力を入れているとの事でした。しかし、幼い頃からファストフードで育てられてきた子ども達の味覚は改善されたランチの味を嫌い、残飯が2倍近くも出てしまい困っている。その様な悲しい内容でした。しかし、小さな子ども達の中でも『バナナの皮がむけない。みかんの皮がむけない。リンゴの皮はむかないと食べない。』むいてあげると、『バナナ嫌い。リンゴ嫌い。お菓子はないの?』そんな声も聞こえます。子ども達から自然の味が忘れ去られていくようで、寂しい気持ちになりました。
子ども達の中には、家の畑でとれたキュウリを片手に『これうちの畑でとれたんだよ〜!』と誇らしげに食べる子ども達もいます。バナナもリンゴも手をくわえていない自然の甘さで子ども達に提供する。でもその甘さが子ども達にはちょうどよく、その自然な味を覚えてもらうのも大切なのです。おにぎりを自分達でにぎらせ、食べてもらう。子ども達は自然と笑顔になります。子ども達の心に食べる喜びがあるからです。子ども達と一緒に体に優しいおやつを準備したり、お野菜を育ててみたり、子ども達が『食べてみたい。作ってみたい。』と思える環境や機会を整えてあげる事が大切ですね。
大きく育て!子ども達!
元気に育て!子ども達!