6カ月の長丁場。気が早いのは分かっている。それでも、夢を見てしまう。110年ぶりの頂上決戦。カブス対ホワイトソックスのワールドシリーズが実現するかもしれない…。
メジャーリーグが開幕して1カ月、シカゴを本拠地とする2チームが快進撃を続けている。4月終了時の戦績は、カブスが17勝5敗でナショナル・リーグ中地区1位。ホワイトソックスが17勝8敗でアメリカン・リーグ中地区1位!
スポーツ専門チャンネル、ESPNによれば、開幕前の今季のワールドチャンピオン予想オッズはカブスが全30球団中2番目の10倍で、ホワイトソックスが同18番目の40倍。どちらが、ビッグ・サプライズかは一目瞭然だ。筆者が「!!」とした理由もそこにある。
「HOT SEAT」。メジャーリーグではクビになる可能性が高い監督に使われる言葉だが、昨季終了後のホワイトソックスの監督、ロビン・ベンチュラはまさにその状態にあった。就任1年目の2012年こそ、85勝77敗で地区2位だったが、翌年は1970年以来、33年ぶりのシーズン100敗まであと「1」に迫る63勝99敗で同最下位。14、15年も負け越し、同4位に沈んでいる。5年間の通算成績は297勝351敗。続投している方が不思議だった。
しかも、今年の開幕直前には、アンディ・ラローシュ内野手が息子のチーム帯同を球団から拒否されたことに激怒し、突然の引退表明。それを発端にエースのクリス・セール投手がチーム編成の権限を握るケニー・ウィリアムズ副社長を名指しで「嘘つき」と批判したことから内部分裂≠フ様相を呈する。ジェリー・ラインズドルフ球団オーナーが声明文を出し、事態の鎮静化を図ったが、不穏な空気を一掃することはできなかった。
ところが、どうだ。球団幹部を公然と批判したセールが開幕から好投に次ぐ好投で6勝無敗、防御率1・66。昨季はマイアミ・マーリンズ、ロサンゼルス・ドジャース、ロサンゼルス・エンゼルスの3球団を渡り歩いたベテラン、マット・レイトス投手も4勝無敗、防御率1・84と絶好調。特に後者はビッグ・サプライズの象徴となっている。
ブルペン陣も負けてはいない。14年オフにそろって大型契約を結んだザック・デューク投手(3年1500万ドル)、抑えのデービッド・ロバートソン(4年4600万ドル)の2投手は期待通りの働き。投手陣最年長のマット・アルバース投手に至っては4月12試合で1度も失点を許していない。
チーム防御率2・72はリーグ1位の数字だ。
もちろん、不安材料もある。先発陣ではセール投手とレイトス投手の2人で10勝を挙げているが、ベテランのジョン・ダンクス投手は0勝4敗、防御率7・25と散々な内容。打線も3割打者がゼロ。主砲のホゼ・アブレイユ内野手も打率・240、3本塁打、14打点と本調子にほど遠い。しかし、これらマイナス要素をのびしろ≠ニとらえることもできるのも事実だ。
ESPNによると、4月26日現在のワールドチャンピオン予想オッズはカブスがメジャー30球団トップの3・5倍。そして、ホワイトソックスが同10番目の18倍だという。
両雄がワールドシリーズを戦ったのは1906年の1回きり。その時はホワイトソックスが4勝2敗で勝っている。
今季最終戦は10月2日。気が早すぎるのは分かっているが、夢想する。ウィンディシティの快進撃は続く…。
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