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6-2012

ありがとう、ケリー

タイプスリップした。
家の物置から引っ張り出した1冊の雑誌。表紙はボストン・レッドソックスのペドロ・マルチネス投手だ。日本で発行されている唯一のメジャーリーグ専門誌「スラッガー」の2000年7月号は当時、メジャー最強右腕と謳(うた)われた男の特集記事で始まる。ページをめくる。2番目の記事はサンフランシスコ・ジャイアンツのバリー・ボンズ外野手。
すでにアレを使っていたんだろうなぁ・・・。続いて登場するのはアトランタ・ブレーブスのアンドレス・ガララーガ内野手。あの人のふくらはぎの太さはハンパなかったなぁ・・・。マイク・スウィーニー内野手やジャーメイン・ダイ外野手ら有望株が集まったカンザスシティ・ロイヤルズの明るい未来を予測する記事もある。ロイヤルズは今季も同じようなことを言われてるけど、結果はおんなじ・・・。

さらにページをめくる。あった!探していた記事は30ページ目にあった。タイトル「HOME COMING」。僕が初めて書いた長文だ。スポーツライターとしての『はじめの一歩』。原点とも言うべき作品だ。
書き出しはこうだ。「ひじの内側に大きなくの字型の手術跡が残る右腕をしならせウッドが投げ込んだ初球は、時速95マイル(約152キロ)、ど真ん中のファストボールだった」。テーマはシカゴ・カブスのケリー・ウッド投手の復活劇。右ひじの手術をへて577日ぶりにメジャーのマウンドに帰ってきた00年5月2日のヒューストン・アストロズ戦を軸にしたストーリーだ。当時のことが次々と思い出される。バックネット裏にウッドの両親を見つけて話を聞いた。ウッドのボールを受けたジョー・ジラルディ捕手(現ニューヨーク・ヤンキース監督)やアニキ的存在のマーク・グレース一塁手(現テレビ解説者)、デービッド・ダンバス・ヘッドトレーナー(すでに退団)。登板前から登板後にかけてリグレーフィールドに足繁く通い、試合前のカブスのクラブハウスで原稿の材料を集めた。一番多く取材したのは、当然、ウッドだ。メジャーデビューから5試合目の1998年5月6日に史上2人目の1試合20奪三振を記録した。27個のアウトのうち20個が三振。しかも20歳10カ月という若さで。全米を仰天させた。ファストネームの頭文字「K」は、野球界では「三振」を意味することから「KID K」と呼ばれるようになった。その相手が復活試合と同じアストロズというのも面白い。1対1のインタビュー。ウッドのロッカーは入り口の一番近い左端にある。試合前の限られた時間。緊張した。一度で終わらせることはできないことはわかっていたので数回に分けた。試合前のルーチンが忙しかったのか、約束の時間には現れず、待ちぼうけを食らったこともあった。テープを聞き直しては「もう1つ、確認したいことが・・・」と言って追加取材をした。当時のウッドは22歳。うんざりした表情を見せることもあったが、こちらも仕事。引き下がるわけにはいかなかった。実は、当時は別のカイシャで働いていた。なんらかの理由をつけてオフィスを抜け出し、球場に通った。しかし、度が過ぎたのだろう。5月2日の朝に社長に呼ばれて問い詰められた。そこで初めて、本当のことを言った。当然、許されるはずもない。ちょっとした口論になった。どうすべきか迷った。この試合を見逃したら原稿は書けない。迷いに迷った。
「辞めます」。
オフィスを飛び出した。自分の将来に賭けた。

あれから12年の時間が流れた。ウッドは06年に右肩を痛めて先発投手から中継ぎに転向。08年にはクローザーで34セーブを挙げ、その実績を評価されて翌年にクリーブランド・インディアンスと2年契約を結んだ。10年途中にはジラルディ監督率いるヤンキースに移籍。2年前に再び、カブスに戻ってきた。そして、今年5月18日、ウッドは引退を表明した。リグレーフィールドで行われたシカゴ・ホワイトソックス戦で8回1死から登板し、ダヤン・ビシエド外野手を空振り三振に仕留めた。初球は内角95マイル(!)のフォーシームでファウル。2球目は低め、76マイルのカーブを再び、ファウル。カウント0−2と追い込み、再び、カーブ。外角低めへの77マイルにバットは空を切った。有終の美。14年のメジャー生活を1582個目の三振を締めくくった。スタンディングオベーション受けながらウッドはマウンドを降りた。歩きながら大きく息を吐く。ダグアウトから飛び出した愛息・ジャスティン君をギュッと抱き締める。その光景に涙したのは僕だけじゃないはずだ。登板134試合目での通算1000奪三振到達は今なお最速記録としてメジャー史に燦(さん)然と輝く。

そういえば・・・。僕が家の物置から一冊の雑誌を引っ張り出したのは、ウッドの引退から数日後のことだ。ウッドがカブスにいなければ、雑誌社からの原稿依頼はなかった。偶然か、必然か。そんなことはどっちでもいい。今の僕にはウッドへの感謝の気持ちしかない。




 
     
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