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大リーグが開幕して1カ月が経過した。開幕ダッシュに成功したチーム、本来の力を出し切れていないチーム、暗雲が立ちこめているチーム、いろいろな形のスタートが見えるが、早くも明暗を分けているのが、本拠地に足を運ぶ観客の数だ。
勝ち組の一番手は、ニューヨーク・メッツ。昨季はペドロ・マルチネス投手やカルロス・ベルトラン外野手といったオールスター選手が新たに加わり、大きな関心を集めたが、結果はナ・リーグ東地区4位。期待されたプレーオフ進出を逃し、大成功の基準とされる年間300万人には及ばず、280万台人にとどまった。しかし、昨季終了後にメジャー屈指のスラッガー、カルロス・デルガド一塁手、豪腕クローザーのビリー・ワグナー投手を獲得。開幕から順調に勝ち星を重ね、地区首位(4月月24日現在)に立っている。
この好調ぶりに本拠地の1試合平均観客動員数は3万9479人。昨季より4105人も上回っている。このペースでいくと18年ぶりに大台を突破する計算になる。
それに続くのが、昨季、球団史上88年ぶりのワールド・チャンピオンに輝いたシカゴ・ホワイトソックスだ。前売りの時点で年間200万人を突破する人気ぶり。開幕直後こそ4連敗とややもたついた感があったが、4連勝、8連勝とその波に乗り、地区首位に。1試合平均観客動員数も昨季を3263人上回る3万2187人。早くも13年ぶりの250万人突破が見えている。
その一方で閑古鳥が鳴いている球場もある。フロリダ・マーリンズの本拠地、ドルフィンズ・スタジアムだ。平均動員数は昨年比マイナス8474人となる1万4398人。両リーグ最低という屈辱的な数字だ。
しかし、この結果も球団が地元ファンの気持ちを完全に無視した昨年オフの ”暴挙“を知ればうなずけるというもの。それは、チームの総年俸削減を理由に主力選手を次々と放出したことによるが、そのやり方があまりにも強引すぎた。
今季の開幕戦のラインアップを見れば一目瞭然だが、野手8人のうち、昨季から残っているのはミゲル・カブレラ三塁手のみ。ホワン・ピエール外野手はシカゴ・カブスへ、ルイス・カスティーヨ二塁手はミネソタ・ツインズへトレードするなど、7人の主力を切り捨てた。投手陣もしかりで、見返りとして安くて有望な若手を獲得したおかげで、93年の球団創設以来、最高を記録した6040万8834(約70億円)の昨季の年俸は、今季両リーグ最低の1499万8500(約17億4000万円)まで削減。その緊縮ぶりは、年俸2500万(約29億円)のA・ロドリゲス(ヤンキース)ら12選手を下回るほどだ。
チームは97年と03年に世界一になってはいるが、その人気はイマイチ。さらに今回の強行なチーム再建でファンはさらに興ざめ。ラインアップに6人もの新人が名を連ね、勝てない試合に金を払う気になれないのは自然な反応だ。
マーリンズに続くのが、イチロー外野手と城島健司捕手の日本人野手コンビがプレーするシアトル・マリナーズ。04、05年にいずれも90敗以上を喫して2年連続地区最下位。今季も連敗を重ねて低空飛行を続けている。本拠地、セーフコ・フィールドの観客数もワースト記録を2度更新するなど、スタンドは連日空席だらけ。1試合平均の数字は昨季を6683人も下回る2万6966人。年間210万にまで落ち込めば、13年ぶりの屈辱となる。
勝利の喜びを一緒に分かち合って、日ごろのストレスを発散したい。これぞ大リーガーだ、というプレーを堪能したい。ワクワクする試合を見たい。ファンは正直だ。
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