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大リーグは10月のプレーオフに向けて大きな盛り上がりを迎えようとしている。シカゴを拠点に置くホワイトソックスはオールスター直後に調子を落としたが、前半戦で稼いだ貯金がものをいい首位をがっちりキープ。5年ぶりのポストシーズンに向けて着々と前進している。一方のカブスは勝率5割を行ったり、来たり。独走態勢に入っている首位のカージナルスを逆転することは難しく、ワイルドカード争いに加わりたいところだ。
さて、今回は大リーグに存在する反則技について紹介したい。反則技として一番に挙げられるのは、筋肉増強剤や興奮剤といった禁止薬物の使用、いわゆるドーピングだ。大リーグは今季から抜き打ち検査を実施し、すでに6人の大リーガーを処分(7月23日現在)。マイナーリーガーにいたっては100人に達する勢いを見せている。
反則技はそれだけではない。2年前にはカブスでプレーしていたサミー・ソーサ(現オリオールズ)がコルク入りバットを使用していたことが発覚。試合中に折れたバットの中からボールの反発力を強くするために詰めたコルクが発見されたもので、本人は「打撃練習で使っていたものを誤って使用した」と苦しい弁明に終始した。
今シーズンも事件はあった。
6月14日、カリフォルニア州アナハイムのエンゼルスタジアムで行われたエンゼルス対ナショナルズ戦。7回に登板した中継ぎ投手のブレンダン・ドネリーにナ軍のフランク・ロビンソン監督がクレームをつけたのだ。
「ピッチャーのグローブを調べてみてくれ」。
球審がマウンドまで行ってグローブを調べると、土手の部分には打者がバットの滑り防止に使用する松やにがべっとり。それを指先につけて投げるとボールに不自然な変化が生じる違反とあって、同投手は即退場。8回にはア軍のマイク・ソーシア監督が仕返しとばかりにナ軍投手のグローブを調べさせたのだった。両監督は試合後もメディアを通して
”口げんか“。ソーシア監督は選手をかばう立場だったとはいえ、あまりに見苦しいものだった。
自分のつばをつけるスピット・ボールや、小さな紙やすりでボールの表面に傷をつけるのも同種の違反だが、そんなことをされては打率3割が好打者と言われている打者はたまったものではない。それならば、というわけではないが、打者にもソーサのようにコルクバットを使ったり、打席の中でキャッチャーが構えたミットを
”チラ見“してコースをカンニングする反則技が存在する。
7月20日、カナダ・トロントのスカイドームで行われたマリナーズ対ブルージェイズ戦ではこんなこともあった。
4回のブ軍の攻撃。マ軍先発投手のライアン・フランクリンが突然、マウンドから二塁走者のオーランド・ハドソンに向かって歩き出し、言葉を発したのだ。その会話の内容はサイン盗み。捕手から出るサインを二塁から確認し、打者に知らせているというものだ。もちろん、同選手は否定したが、6月にはレッドソックスがブ軍に対してサイン盗みのクレームをつけているとあって
”100%白“ということはなさそうだ。
より質の高いパフォーマンスを披露するためなのか、チームの勝利のためなのか、さびしい気持ちにさせる愚行の数々。大リーグにスポーツマンシップという言葉は存在しないのだろうか。ごく少数の選手の仕業とはいえ、野球ファンを落胆させることだけはやめてもらいたいものだ。
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