6/2011
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I-864扶養宣誓供述書 (Affidavits of Support)
に関する問題
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I-864 扶養宣誓供述書(Affidavits of Support)は、移民ビザの請願者(すなわち生活資金の援助を受ける親族)が生活保護者となるおそれがなく、米国政府の社会福祉手当に依存することなく米国で生活するのに十分な資金源があることを証明する文書であり、米国国務省又は移民局に提出されます。この扶養宣誓供述書に署名するスポンサー(移民ビザ請願者に対し米国における生活資金提供を約束される方)は、長期間に渡り相当な義務を負うことになる一方、I-864は、かなり技術的かつ複雑な内容となっています。そのため、スポンサーは、扶養宣誓供述書に署名する前に、自らが負うことになる義務を十分理解することが必要となります。
一般的に扶養宣誓供述書は、ほとんどの家族関係に基づく移民ビザ請願において必要とされますが、雇用関係に基づく移民ビザ請願の場合においても、請願者の親族がI-140書式を提出する場合、又は請願者の親族がスポンサーとなる会社を相当程度所有している場合には、その提出が必要となります。スポンサーが移民ビザ請願者に対する資金援助をなすのに十分な資金を有しているか否かは、スポンサーの収入額(給料額)及び所有資産の価値により判断され、「十分な資金を有している」とされるためには、スポンサーは、米国政府が設定する低所得者基準(Poverty
Guidelines)の125%以上の資金(収入及び資産)を有している必要があります。ただし、スポンサーが軍務に服している場合、「125%」ではなく、「100%」のレートが適用されます。
スポンサーの収入だけでは、上述の低所得者基準に満たない場合、スポンサーの銀行口座、投資、不動産、自動車、その他の資産で、12ヶ月以内に容易に換金可能な資産の価値もあわせて考慮されます。しかしながら、スポンサーの資金価値が収入とあわせて考慮される場合、スポンサーの資金の価値は、スポンサーの収入と低所得者基準額の差の5倍以上である必要があります。もっとも、スポンサーによる資金援助を受けることになる移民ビザ請願者が、米国市民の配偶者又は米国市民の18歳超の子供である場合、収入と低所得者基準額の差は、「5倍」ではなく「3倍」であれば足りるとされます。また、スポンサーが単独では低所得者基準を満たすことができない場合、共同スポンサーを加えることも認められています。
スポンサーによる支援を受ける親族(移民ビザ請願者)が、米国永住権を得た後に生活に困窮する状況に陥った場合、その親族は、I-864に基づき、スポンサーに対し資金援助を法的に強制することができます。I-864に基づく資金援助強制を求める親族は、I-864を最寄の移民局事務所に提出することとなります。I-864を受領した移民局は、連邦司法共感を通じて、連邦裁判所にI-864の執行を請求します。さらに、司法長官は、スポンサーに対し、スポンサーが資金援助義務を負う親族に米国政府が支給した公的扶助の払い戻しを請求する場合もあります。
I-864に署名するスポンサーは、上述の通り、資金援助対象者に対し、相当な負担を課すこととなりますが、この負担は、以下の
(1) から(4)のいずれか事実が生じるまで継続します。(1)資金援助対象者が米国市民となった場合(2)資金援助対象者が米国永住権資格を失った場合(3)資金援助対象者が米国社会保障法第2章に基づき40四半期の期間(約10年間)において就労を継続した場合。(4)資格援助対象者が志望した場合。
スポンサーが死亡した場合であっても、スポンサーが死亡する前に生じた義務は、スポンサーの遺産により引き継がれます。スポンサーが、移民ビザ請願の承認後、資金援助を受ける親族の渡米前に死亡した場合、スポンサーを必要とする親族は代理スポンサーをたてることを認められています。代理スポンサーとなるためには、以下の5つの条件を満たす必要があります。
(1)スポンサーを必要とする者の親族であること。(2)米国市民又は米国永住権保有者であること。(3)18歳以上であること。(4)米国に本籍を有すること。(5)十分な収入があること。
I-864に基づく責任が終了する場合は、上述の4つの場合に限られますので、スポンサーと資金援助対象者が離婚した場合であっても、スポンサーは、I-864に基づく資金援助の義務から当然に免れるわけではありません。そのため、スポンサーは資金援助対象者との婚姻解消後においても、I-864に基づく資金援助を強制される場合があります。
上述の通りI-864を提出するスポンサーは、重大な責任を長期間負うことになりますので、I-864を提出される前に、移民法弁護士に相談されることをお勧め致します。
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