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米国の永住権を取得することは困難ですが、永住権を維持することの意味を良く理解していないと簡単に失ってしまうこともあります。わずか6ヶ月の不在でも、帰米した際の通関時に、米移民局検査官に永住権の有効性を疑問視されることもあります。その場合には米移民局は永住者の米国での生活が永続的なものか一時的なものかを示す証拠を探します。
■出国前の書類の準備
永住権を放棄したと誤解されないために、永住権所有者は米国出発前に幾つかの準備をすることが重要となります。例えば米国運転免許を取得したり、国外滞在中に使用する目的で米国の銀行やクレジットカードの口座を開くということができます。他には不動産等の所有権や長く住んでいる米国内の住所の提示もよい証拠となります。住所とは旅行中に郵便物を受け取ることが出来れば親戚や知人の家でも構いません。ただしこれらの証拠は書類として持っていなければ意味がないので、旅行中でも銀行やクレジットカードの明細などを携帯しておく必要があります。米国内での生活を維持している証拠として、普段使用している連絡先を証明できるもの、例えば転送された郵便物や電子メールの通知なども書類として持っておくと良いでしょう。さらに米国外を旅行中の永住者は配偶者や子供が米国で生活しているほうが、家族全員が外国で暮らしている場合に比べ永住権を主張するのに有利になります。
米国外に1年以上滞在する予定の永住権所有者は、出発前に2年間有効の再入国許可証を取得しておくことが重要です。国外滞在が2年以上になる場合には、再入国許可証の有効期限内に一旦帰米し許可証を再取得することができます。再入国許可証は米国への入国を保証するものではありませんが、通関時に国外に長期滞在していたことへの不信感を和らげる効果があります。再入国許可証を取得していない場合、米国での永住に関心が薄いという印象を与えてしまいます。
■旅行が一時的であることの証明
永住権を失わないために、米国での生活が永続的である証明をすると同時に、今回の旅行が一時的なものであったという証明をする必要があります。ここでは、米国外の滞在には特定の目的があったことを示す証拠が必要となります。
6ヶ月以上米国外に滞在するときには、旅行の目的や帰国が遅れた理由を説明できる書類を用意しておくことが賢明です。例えば病気の親の世話をしていた場合はカルテ等が有効です。遺産相続に関わる法的な事務処理に時間がかかっていた場合は、法廷か他の法律関係書類を用意しておくと良いでしょう。今回の旅行は一時的な目的のためであって、真意は常に米国に戻ることにあったという印象を強くしておくことが重要です。
米国外長期滞在の目的が勤めている会社の海外勤務であった場合は、雇用主から業務の期間と内容を明記した契約書や関連書類を提出してもらうことで、永住権所有者の海外滞在が一時的なものであったと証明することができます。海外での職務期間を終え米国に再び帰任する場合にはその記載も書類に含まれるべきです。海外での職務期間が未定の場合は、いつまでも国外に滞在し続けるのではないかという悪い印象を与えないよう特に注意しなければいけません。以上に紹介した方法で、米国に戻り永住する意思があることを強く証明する必要があります。
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