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F-1ビザの留学生が卒業後に米国で働こうとする場合に最も多く使われるのがH-1Bビザですが、年間発行上限数が設定されていることやステータス変更に伴う各種規定もあり、複雑です。手違いが起これば、ビザ認可を取得しても、ビザ自体が下りないこともありますし、ビザを取得したとしても、再入国できない恐れもあります。そこで、本稿ではF-1ビザの人がH-1Bビザを取得する手続きとステータス変更に関する留意点を解説します。
上限に達する前に申請
学業を修了した人やOPT(オプショナル・プラクティカル・トレーニング:学生ビザのまま最高12ヶ月間働くことを認めるステータス)を終えた人が申請する就労ビザで最も一般的なのがH-1Bビザです。
H-1Bビザでの就労開始は、会計年度(毎年10月1日〜翌年9月30日)の初日と定められており、その年の10月から働くためのビザの申請は、同じ年の4月1日から受け付けられます。学士号取得者へのH-1Bビザには年間6万5000件という発行枠が設けられ、10月以前にはその上限に達します。
卒業生やOPTが満期になる人が注意しなければならないのは、H-1Bビザへのステータス変更手続きです。一般的に、F-1ビザは学業修了までビザが有効です。逆に言えば、修了と同時にビザも失効します。
従って、それまでにH-1Bビザに切り替えなければ、「ステータスなし」という不法滞在の状態になります。ところが、ステータス変更はそれほど簡単ではありません。
第三カ国でのビザ取得
移民局は過去に、「ステータスなし」ちなってしまう外国人のためにF-1ビザの延長期間を延ばしたことがありました。しかし、移民局は今年、同じ措置を取らない方針です。また、H-1Bビザの申請には時間もかかり、既述のように発行枠が埋まっていれば、申請が却下されます。この状態を「ステータス決定」と呼び、つまり、ステータスなしの状態に追いやられることになります。現状では、母国に帰ってから米国大使館か領事館でステータス変更手続きをするしかありません。「ステータス決定」を避けるための選択肢はあります。どこの米国大使館、領事館でステータス変更手続きをするかをフォームI-129で選んで移民局に提出して、該当する第三カ国(TCN)でH-1B
ビザを申請するのです。TCNはメキシコかカナダになります。この場合、申請者は、移民局からビザ認可証をもらったらすぐに、ビザ・ステッカーを取るためにTCNでその手続きを取る必要があります。ただ、規定では、H-1Bビザ発効日の10日前以降でなければ米国に入国できません。さらに、TCNでビザ・ステッカーを取得した非移民ビザ保持者には面接を課するよう国務省から米大使館および領事館に通達が最近ありました。従って、出身国によっては、厳しいセキュリティ-・チェックを強いられる可能性もあります。
大学院卒の選択肢
H-1Bビザの発行枠制限の規制を受けないための方法として、米国で修士号以上の学位を取得するという選択肢があります。現行制度では、修士号以上の学位取得外国人には年間2万件のH-1Bビザ発行枠が設けられています。認可され次第就労可能となるこの枠には、まだ空きがあるようです。
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