●親のスマホやテレビ視聴が子どもの問題行動と関連
医学誌「Pediatric Research」に2018年6月13日に掲載された、イリノイ州立大学助教授のBrandon
T. McDaniel, PhDらの研究で、「両親がスマホやテレビなど電子機器で費やす時間と、子どもの問題行動とに関連性が認められた」と報告されています。
この研究は、5歳以下の子どもを持つ172組の親(計337人)を被験者とし、育児や家族関係についてのオンライン調査を2014年〜2016年の期間に実施しました。
データを分析した結果、一般的な両親は1日約9時間(仕事も含む)、スマホ、タブレット、パソコン、テレビを使用していることが判明。 そして、親がスマホなどの電子機器を使用すると、子どもと話をしたり遊んだりする時間が短くなり、使用中に子どもに話しかけられた親は、邪魔をしないように叱ったり、怒鳴ったりして、子どもを傷つけてしまい、親子関係が悪化することも判りました。
McDaniel助教授は、「親子での会話や遊びを通じて情緒が養われる機会が、親の電子機器の使用によって阻害され、子どもは欲求不満、ぐずり、イライラ、不安、注意欠如などの問題行動を起こすリスクが高まる」、と指摘しています。
●スマホやパソコンは若者の幸福度を低下
医学誌「Emotion」に2018年1月22日に掲載された、サインディエゴ大学心理学教授のJean
M. Twenge, PhDの研究で、「スマートフォンやパソコンなどのスクリーン(画面)を見る時間が多い10代の若者は幸福度が低い」と報告しています。
この研究は、8学年(中学2年生)、10学年(高校1年生)、12学年(高校3年生)の若者約110万人を被験者とし、心理学的幸福度(自尊心、人生の満足度、幸福感などで算定)に関して1991年から2016年の期間に調査しました。
データを分析した結果、10代の若者で電子機器のスクリーンを見る(例えば、ソーシャルメディア、インターネット、テキスト、ゲーム)時間がより多く、そして電子機器ではないアクティビティ(例えば、実際の社会的交流、スポーツ/運動、宿題、宗教的行事への参加)に費やす時間が少ない者は、心理学的幸福度が低いことが判明しました。
また、最も幸福度が高いと回答した10代の若者は、パソコンやスマホなどを使っている時間が1日1時間未満であること、そして対照的に、スクリーンを見る時間が長ければ長いほど幸福度は低下する傾向であることも判りました。
この結果は、若者の睡眠時間とも関係しており、スクリーンを見る時間が長い若者ほど、睡眠時間は短いことも判明しています。
近年、米国などでは「テクノフェレンス(Technoference)」という言葉が用いられるようになりました。 これは、「スマホを常に触っていないと落ち着かない」、「目の前に本人がいるのにLINEでやり取りする」、また、「育児を放棄してスマホに夢中になる」など電子機器によって引き起こされる様々な問題行動と精神障害を指すそうです。
電子機器は便利な道具として使う人がコントロールすべきであって、それら道具に人がコントロールされないようにしないと、皆が不幸になりかねません。
iPhoneやiPadを世に送り出したアップルの創業者スティーブ ジョブズ氏は、自分の子ども達など家族にはiPhoneなどスマホやタブレットを与えなかったそうです。
私達も、私達自身と子どもの幸せのために、よく考える必要がありそうですね。