健康情報「Harvard Health Publications」に2017年7月6日に掲載された、ハーバード大学医学部准教授のRobert
H. Shmerling, MDの記事で、The American College
of Physiciansの腰痛治療新ガイドラインを紹介しています。
この新指針は、150件超の疫学的研究をレビューした結果を基に今年2月に公布され、腰痛に対し以下の治療法を推奨しています。
発症から12週間以内の急性・亜急性期の腰痛:1.カイロプラクティックによる脊椎矯正、2.鍼灸、3.マッサージ、4.温熱療法。
12週間以上続く慢性的な腰痛:1.鍼灸、2.理学療法、3.運動療法(バランスや深部体幹筋の強化、ストレッチ等を含む)、4.ストレスを減少・対処するためのマインドフルネスを基調とした心理療法。
但し、この推奨は「非定型的な腰痛」を対象とするものであり、骨折などの大きな怪我、癌、感染症など重大な疾患による腰痛は医師(MD)の診療を必要とする。
Shmerling准教授は、「非ステロイド抗炎症薬(アスピリンやイブプロフェンなど)や筋弛緩剤などの投薬は、腰背部痛の最初の治療の標準とされてきたが、僅かな効果と副作用の可能性から、それらは第1の選択とはならない。この新ガイドラインによって、医師は腰痛へのアプローチを修正することを迫られている。」と述べています。
医師も、古い知識や自分の経験などに固執せず、最新の知見に基づく「新ガイドライン」に準拠した医療を患者に薦める必要があり、患者も理解しておくことが賢明ですね。