正常な首を横から撮ったX線写真では、虹のように前弯の配列を保ち、骨や椎間板、周辺軟部組織にも変性や異常が見られないものです。
先回は頚椎(首の骨)の配列が乱れ、正常な前弯カーブを失うことが、神経系の機能が衰弱し、心臓血管系など様々な機能異常の原因となり得るなど健康に影響することを解明した研究結果を紹介しました。
今回は、首に不整列が起り、正常な首の前弯(前方への弓なりの曲線:写真1)が失われ、前弯減少や後弯(逆反り)になり、更に首全体が前傾しているケースが増えているので、その問題を紹介します。
この症例(写真2)では、頚椎が前弯を失ってやや逆ぞりになっているのに加えて、前傾になって並んでいます。 この状態では頭からの重心線が首の前方にズレ(変位)しており、首には大きなストレスがかかった状態になっています。
この様に、頚椎が前傾すると、前傾の度合いが増すにつれて頚椎・首への負荷が増大することが判明しています。 頚椎が前傾すると、その重心線が1インチ(約2.54cm)前方に移動する毎に10ポンド(約453.6g)の負荷が頚部に加わります。
一般的に人間の頭は体重の1割程の重量がありますから、体重80Kgだと頭の重さは約8Kgです。 例えば、体重80Kgの男性で、頚椎が前傾して重心線が2インチ前方移動していれば、頚部に掛る負荷は約9Kgにもなるのです。
このような負荷は当然ストレスとなりますから、頚部のサブラクセーション(不整列)退化の悪化を引き起こす原因ともなります。
医学誌「Modern Manual Therapy of the Vertebral
Column」に掲載された論文では、次のように言明しています。
頭部が前方移動した姿勢を矯正されていない人達は、神経や血管の炎症・緊張、胸郭出口症候群のような状態、筋肉や組織の痛み、結合組織炎のような症候群、慢性的緊張、若い年齢での退行性変性や関節炎などの、慢性的或いは不快な状態を被る可能性が高い。
首が前傾し、頭部が前に移動した姿勢のような「悪い姿勢」は、様々なストレスを身体に加える結果となり、神経や血管などの機能不全や炎症、緊張などを引き起こし、高血圧や退行性変性などの原因ともなるのです。
の首の異常を診断するには、カイロプラクティック医師(DC)によって立位でのX線写真撮影を受け、X線フィルム分析を行うことが必要です。 触診、視診などだけでは正確な診断はできません。
そして、この首のズレは、カイロプラクティックでは頚椎の不整列(サブラクセーション)として診断し、高速低振幅の素早くかつ適切にコントロールされた深さの調整操作(アジャスト)を素手によって行うことで、その不整列を矯正することができます。
カイロプラクティックは、首を含む脊椎の不整列を矯正することができる唯一の専門職であり、大学7〜8年間の教育を受けたカイロプラクティック医師(DC)が行う安全で自然な医療です。