医学誌「Pediatrics」電子版に2015年6月15日に掲載された、アデレード大学准教授のKaren
Peres博士の論文で、「乳児を母乳で育てると、後に噛み合わせ異常が起きる可能性が低減する」と報告されています。
この研究では、1300人超の小児を被験者とし5年間追跡、生後3カ月時、1歳時、2歳時の母乳育児の状況を調べ、また生後3カ月、1歳時、2歳時、4歳時でのおしゃぶりの使用頻度も確認し、5歳時点で、小児らに開咬、交叉咬合、過蓋咬合、中等度〜重度の噛み合わせ異常など、歯や顎の位置異常がみられるかを調査しました。
その結果、過蓋咬合のリスクは、生後3〜6カ月に母乳のみで育てられた小児ではそうでない小児に比べて3分の1低く、6カ月以上の母乳歴がある場合は44%低く、同様に、中等度〜重度の噛み合わせ異常のリスクも、それぞれ41%、72%低くなっていることが判明しました。
また、開咬、過蓋咬合、中等度〜重度の噛み合わせ異常は、ほとんど又は完全に母乳で育った小児で少ないことも判った。
しかし、小児の約40%は4年間、日常的におしゃぶりを使用しており、ほとんど母乳育児の児でも、おしゃぶりを使うと噛み合わせ異常の可能性がやや高かったことも判明しています。
Peres博士は、、「母乳育児は、口腔の筋発達や鼻呼吸を助け、また、不正咬合の危険因子と考えられているおしゃぶりの使用率も低くなる」と述べています。
これまでの複数の研究でも、母乳による育児の便益が報告されています。 やはり、生命に関することでは自然に勝るものはないのでしょう。