|
今年も気がついたらもう12月。街中がホリデーシーズンで綺麗に飾られていますが、いろいろな宗教の信者が集まるこのアメリカで、やはり目につくのが、クリスマス関係のデコレーション。キリスト教徒の皆さんにとってはもちろん、アメリカ文化のとしても、宗教を超えて、この12月の風物詩ですよね。
この時期、キリスト教信者でなくても、クリスマスキャロルを聞いたり歌ったり、あるいは、教会の礼拝やミサに参加したりすることも多いのでは?さて、「キリスト教と一口にいっても、実はいろいろな宗派がある」のですが、さて、この”宗派”、世界には実際いくつ存在しているかご存知ですか?答えは、、、「実のところ、はっきりとした数はわからない」なんだそうです。というのも、世界中には約22億人のクリスチャンがいると言われていますが、その方たちの所属する宗派、この数は3万以上あるいは4万近いのだそうです。国や地域によって「この宗派が主流」というのはわかっており、例えばアイルランドでは人口の約90%がカトリック、アメリカではプロテスタントが若干カトリックの数を上回り、そしてギリシャでは人口2%以外がみなさんギリシャ正教信者。
「カトリック&プロテスタントは聞いた事あるけど、ギリシャ正教ってなによ?」という読者の方、はい、大丈夫。今回のホクホクは、その”キリスト教の宗派を理解する”ための内容になっています。世界で一番信者の多いキリスト教、西洋文化や歴史を語るには理解しておいた方が無難なクリスチャニティ、その内側を一緒に探っていきましょう。
キリスト教の宗派は、サックリと分けると3つになりまして、(1)東方教会(あるいは正教会)、(2)カトリック(あるいは西方教会・旧教)、そして(3)プロテスタント(あるいは新教)となります。ただこの3つの分類の中で”宗派”になるのはカトリックのみ。(1)の東方教会&(3)のプロテスタントは、ある意味「カテゴリー」であり、それぞれに属する宗派がたくさんあります。根源からお話してみましょう。遠い遠い昔、キリスト教とは”イコールローマ帝国の宗教”でした。帝国が東西に分裂するにあたり、教会も<西方教会>と<東方教会>に別れ、西方教会がカトリックに、そして東方教会がオーソドックスと呼ばれるようになりました。その後も東内&西内で教会分裂が続きますが、基本的な(1)と(2)のルーツはこれでご理解いただけると思います。
さて、(2)のカトリックなのですが、ドイツ人マーティン・ルター氏が登場(ルターの宗教改革、懐かしいでしょう?歴史の教科書にあったでしょう?)。彼を含めたカトリック反対派達によりルター派教会など新しい波が生まれました。この乱立がもとで確立されていったのが(3)プロテスタント諸派、なんですね。Protest(抗議する)という言葉が使われているのは、このような意味合いがあったのです。3つの大きなグループを理解した上で、各派にどんな宗派が存在するか(カトリックはそれだけで一つの宗派)をご紹介したいと思いますが、とにかくたくさんあるので、あえてメジャーなものだけ、そしてあえてそれぞれの教義には深くふれない事にします。
(1)東方教会(正教会):東南ヨーロッパと旧ソ連地区に多く、全クリスチャンの10分の1を占める。ギリシャ正教会、ロシア正教会、ルーマニア正教会、ブルガリア正教会(と、地名を使った名前が多い)。カトリックのように教職者の独身は要求されず、また、教皇も存在しない。礼拝に相当するものは「聖体礼儀(Divine
Liturgy)」と呼ばれている。
(2)カトリック:教会の管理者は「司祭(Priest)」と呼ばれ、また神父(Father)という通称、教職者達は独身性が求められる。特徴として、「教皇(法王)」を頂点としたピラミッド型組織であること。また7つの秘蹟(sacrament:
洗礼, 堅信, 聖体, ゆるしの秘跡, 病者の塗油, 叙階, 婚姻の秘跡)が認められている事、など。”ミサ”と呼ばれる礼拝を行うのはカトリックのみ。
(3)プロテスタント(たくさんある中、アメリカ国内でよくみかけるものをいくつか抜粋):
●ルーテル派:教皇の権威否定、免罪符への反対意見、などを筆頭にはじまったルターの宗教改革がもと。スカンジナビア諸国の国民宗派となっている。
●改革派・長老派:フランス人宗教哲学者カルバン氏の流れのある宗派。宗教観と資本主義観をあわせた見解が、カトリックのコンセプトとは大きく違い、また「信仰義認」の教えを広げた。
●バスティスト派:”洗礼”から来た言葉で、身体を水につける浸礼式に洗礼を行う宗派。”キリストの弟子である”というコンセプトが重視され、クリスチャンとしての生活を大切にする。公民権運動で有名なMLK牧師の宗派。
●メソジスト派:それまでに存在した’英国国教会’に反対したジョン・ウェスレー氏が「聖書に基づいたキリスト教に!」を論理的な視野から伝えた宗派。メソジストとは”方法論者”の意味。現在、全世界で慈善事業や社会事業で有名である「救世軍(Salvation
Army)のルーツもメソジスト派。
●ペンテコステ派:20世紀に起こった復興運動(リバイバル)の中で生まれた「聖霊によって異言を話す」を重視する宗派。悪例追放や病気を治す祈祷、なども多く行われている団体。
|