胸焼けはよく見られる症状ですが、ひどくなると、いろいろな問題を起こします。
胸焼けとは酸度の強い胃酸が食道の方向に逆流してしまった時に起こる症状です。軽い場合は胸の中心部が熱く感じる、焼けるような感じがする、すっぱい感じがする等で、時間とともにすぐにこれらの症状は改善されます。しかしこの状態が悪化すると、胸に痛みを感じるようになったり、咽の不快感、声がかすれる、慢性の咳が続く等の症状を引き起こすようになります。
本来、食べ物は口から食道、胃へと進んでいきます。食道と胃の結合部には括約筋があり、胃から食道への逆流は起こらないように作られています。しかし、場合によって、この括約筋の部分が正しく機能しなかったり、胃酸の分泌量が多くなったりした場合に逆流が起こってしまい、胸焼けの症状が起こります。
胸焼けを完璧に無くす事は難しいかもしれませんが、頻繁に起こる方は下記のことに注意して下さい。
1) 就寝前の食事は避ける。
食後は食べ物を消化する必要があるので、胃が刺激され、胃酸が分泌される仕組みになっています。夕食後、胃酸の分泌量が増えた状態のままで寝る(横になる)と、胃酸の逆流が起こりやすくなるので、胸焼けがひどくなります。出来る限り、夕食は寝る2?3時間前に終わらせるようにして下さい。どうしても無理な場合は夕食の量を少なめに抑えて下さい。
2) 食べ過ぎない。
出来る限りきちんと3食、同じ量を食べて下さい。よくありがちな朝食を抜かして、夕食は外食、更に沢山食べるというのは、一番悪いパターンです。1回の食事量が多いと胃酸が多く分泌されるだけでなく、胃の中の圧力が上がり、一層胃酸逆流が起こりやすくなります。場合によっては1回の量を少量にして、一日4〜5回に分けて食べるほうが胸焼けには良い事もあります。
3) ゆっくり食べる
4) きつめの服は避ける
きつめの衣類を着ると、腹部を圧迫するので、やはり胃から食道方向への圧力が強くなり、症状が悪化する事が多いようです。
5) 胸焼けを起こしやすい食べ物は避ける
これは当然のことですが、胸焼けを起こしやすい食品は個人差があります。胸焼けの原因となりやすい食べ物の中には、玉ねぎ、ミント、チョコレート、カフェイン類、酸味が強いジュース、トマト、高脂肪食品等があります。これらが全て誰にでも症状を悪化させるわけではないので、頻繁に胸焼けが起こる方はしばらくの間、食べた物を全て記入して日記をつけることをお勧めします。日記をつけることによって、ある程度は症状を悪化させる食べ物を絞る事が出来るでしょう。
6)体重を減らす
7)煙草を止める
煙草に含まれるニコチンは食道胃括約筋を緩める作用を持っています。ニコチンによってこの筋肉が緩む事で胃酸の逆流が悪化します。
8) 禁酒
アルコール類は胃酸の分泌を促すので、控えめに。
9) 温かい飲み物を飲む
カフェインを含まない暖かい飲み物は全体的に胸焼けには効果があるようです。
10) 頭を上げて寝る
横になると、重力の影響で立っている時と比べて胸焼けが起こりやすくなります。少し角度をつける事によって症状の改善が見られます。
11) 運動の直前は食事を避ける
運動はとても良いことですが、やはり直前に食事をすると、運動中に腹筋に力が入り胃酸逆流が起こりやすくなります。食後2時間位は運動する事は待ちましょう。
12) 十分に水分を取る
これらを参考にして生活習慣を変えても胸焼けが改善されない場合は、胃酸を中和するカルシウム製剤(TUMS等)、又は胃酸の分泌を抑制する内服薬(Zantac等)を服用する事によって症状は改善されます。
但し、あまり長く症状が続く場合や、薬を飲んでも治らない場合は、簡単な胸焼け以外の病気が存在する可能性もありますので、胃の検査を一度受ける事が安全でしょう。
症に進む確率が高いので、要注意または治療が必要となる場合もあります。