円形脱毛症は、脱毛が主な症状となる病気です。不明な点が多い病気ですが、子供も含め、誰にでも起こる可能性はあります。
■どんな病気?
円形脱毛症とは、突然、境目がハッキリした楕円形の脱毛斑が発生し、ある程度(2〜5cm位)拡大していく病気です。特に男女差はなく、どんな年齢でも誰もが発症する可能性を持っています。また子供に多い病気でもあり、一部のケースは全頭型や全身型などのひどい脱毛もみられます。残念ながら原因がはっきりせず、満足できる治療方が見つかっていないのが現状です。殆どの場合完治しますが、精神的苦痛(特に子供の場合)が大きい病気です。又治ったと思っていても1?2年おきに部位が変わり、繰り返し発症する場合も少なくありません。
■原因は?
現在のところ円形脱毛症の原因ははっきりとしていません。考えられる原因としては、遺伝、ストレス、ホルモンのアンバランス、自己免疫等があります。免疫とは、通常は外部からの侵入物を攻撃する事により、私達の身体を守る役割を果たしています。自己免疫疾患では、この免疫機能に異常が生じ、自己反応性の細胞や抗体が出現してきます。円形脱毛症は、自分の免疫細胞が毛根を外敵と間違えて攻撃してしまう為起きてしまうのではないかと言われています。また、その他の自己免疫疾患(甲状腺の疾患等)を持っている方に円形脱毛症が多く見られることからも自己免疫が原因と関連している説が、強く指示されているようです。
■治療法は?
1. 自然治癒
幸い80%のケースが1年以内に完全に回復します。これは治療の有無に拘らずですが、治療をする事によって回復が多少早まるようです。
2. ロゲイン
育毛剤として知られている薬品ですが、患部に使用すると多少の効果はあるようです。
3. ステロイド
ステロイドは炎症を抑える優れた薬で、円形脱毛症にも効果があります。初期の脱毛には非常に有効だとされていますが、難治な患者さんには残念ながらほとんど無効です。液体のステロイドを患部に塗り込むか、脱毛部にステロイドを局所注射する治療法が一般的で、副作用も少なく、効果的です。ステロイドを内服すると難治の場合もかなり効くことがありますが、長期間続けるといろいろな副作用が起きる場合があります。
4. 局所免疫療法
かぶれを起こしやすい化学物質の溶液を、1〜2週に1回、患部に塗り、あまり痒くない弱い皮膚炎を意図的に起こさせます。副作用として、人によってはひどいかぶれが起きることがあるので注意が必要です。
その他にも幾つかの外用薬が試されています。血管を拡張し、血流を良くする薬や、皮膚に刺激を与えるような物が主です。但し、どれも特効薬といえるほどの効果は無いので、病気の重傷度、年齢などを考えて治療法を選ぶ必要があります。
■予防法は?
原因がはっきりしていない事から、予防法もごく一般的な事しかありません。バランスの取れた食事に心掛けたり、頭皮のマッサージ等で血行を良くするようにしましょう。又ストレスは溜めないように、しっかり睡眠を取りましょう。趣味の時間を作るなど、自分に合ったストレス発散方法も見つけましょう。悩みを一人で抱えないで、話し合える仲間を見つける事も良い方法です。話すという事は、精神衛生上でもとても効果があります。
■最後に
早目にこの病気を判断する為に特徴を覚えておきましょう。
1. 脱毛部分は境界がはっきりした円形、または楕円形であること。
2. 脱毛部分の周囲の毛はひっぱると簡単に抜け、痛みもほとんどないこと。
3. 何の兆候もなく突然、脱毛が始まる。
等が上げられます。
一度にたくさん髪が抜ける場合等は、その他の病気による脱毛の可能性もあるので、早目に診察を受けた方が良いでしょう。