少しづつ、暖かくなってきているシカゴですが皆さんはどの様に過ごされていますか?日本であれば、子供の学校の入学式や始業式という時期です。アメリカの学校は、あと2か月弱で終わりですよね。子供と親が二人三脚で頑張っている一年だからこそ、子供たちが無事に学校を終える事にホットしますね。
今月の“アサコ先生にちょっと聞いてみよう!”のコーナーでは毎月読者の方々からたくさんのご質問を受ける中、「子供が思春期をむかえています」というトピックを取り上げてみました。
投稿Y さん: 子供が二人います。長男は15歳、次男は8歳です。次男は何でも私に話しをしてくれるのですが、長男はあまり話をしてくれません。今日一日どうだった?と聞いても「別に」で終わってしまいます。会話をしてくれないので、ついつい、なんで話してくれないの?と問い詰めてしまう始末で、そうすると長男は自分の部屋に行ってしまいます。以前は色んな事を自分から話してくれていたのにと思うと悲しくなります。会話があまりないので、この子は話し方を知らないのかな?と自分の息子でありながらも疑問です。最近、すぐにかっとなり怒り気味の長男を見ていると、もしかしたら思春期だからなのかな?と思うのですが、どのように接していいのかわかりません。私自身、親でありながら困っています。どうしたらいいでしょうか?
Yさん、投稿ありがとうございます。子供を持つ親であれば誰もが通る道かもしれませんね。我が家の子供が話をしてくれない!とお悩みの親御さんがオフィスに来られる事はよくあります。Yさんの長男の年齢は思春期を迎える真っ最中です。子供の性別は関係なく、この時期の子供たちは感情的になりやすい時期です。思春期のお子さんを持つ親御さんが皆さん口をそろえて言うことは、子供が最近、イライラしやすい、ちょっとしたことですぐに怒る、すぐに泣いてしまう、口論になりやすいなどです。
ちょっと複雑な思春期だからこそ、親としてどの様に子供たちを理解して上げ、支えてあげるか?がポイントかなと思います。まずは、思春期を迎える子供たちの言動・行動を少しでも理解できたら、子供とのやり取りも今よりは改善されると思います。
思春期に入ると、子供は親に反発するようになります。Yさんも多少はそんな思春期時代だったかもしれませんよね。子供にとっては大人になる為の大事なプロセスであることを理解してほしいと思います。親に反発するのは、親を試しながら、親から離れて自立する為の練習でもあるわけです。そして、子供から、大人へのプロセスの中で感じる自分なりの感情を、彼らなりにベストを尽くして向き合っている訳です。彼らのやり方は親と会話をしない選択だったり、言い合いになる行動だったり、あからさまに親との時間を嫌がるなど、親と一歩距離を置く態度をとる事で、自分が自立していくのだと言う事を無意識のうちに準備をしているのです。
思春期を迎える子供たちは、自主的に親にいろんな事を話す事はあまりしない子供が殆どです。特に男の子は、思春期でなくても、女の子と比べるとあまり自分から話さない傾向があるので、思春期の時期は以前よりも親から距離を取ろうとします。でも、それは親を嫌いと言う事ではないのですよ。そこはYさんも勘違いをしたり、一人で妄想ワールドに入ってしまい、子供に嫌われているのか?子供は話し方を知らないのか?私の育て方がいけないから話をしてくれないのか?などと落ち込んでしまったり、思わない事です。妄想や推測は、現実ではありませんので、不安になったり、自分を責めたり、子供を責めないように心がける事が大事です。
子供によっては、思春期を迎えずに‘良い子’として成長していく場合もあります。この様なケースはたいてい、子供が親の気分にとても敏感で、親を怒らせないようにしよう、できるだけ穏便に毎日を過ごしていこう、などと親とのトラブル事を避けるために気を使いながら成長していきます。彼らが思っている事や感じている事を親にぶつけられず、いろんな事を我慢する生活をします。その様な生活をしていくうちに、大人になった時に彼らは、自分が思っていること、感じていることを我慢することができなくなったり、我慢しすぎて生きていくことになります。思春期の時に、大人になる為の心の準備を上手に出来なかった事で、大人になってから自分の感情と上手に向き合えなかったり、人との距離感をうまく取れなく人間関係を保つことが難しくなるケースも少なくはありません。
子供が思春期を迎えると、親としては、今までよりも子供との距離が離れていると感じ、寂しく思いますよね。以前の様にもっといろいろと胸の内を話してくれたらいいのに...と思うかもしれません。子供も大人も、会話をしなさい!と言われたからと言って自主的に話をしてくれるわけではありませんよね。とくに思春期の子供たちは、その時の気分で会話をしてくれたりする日もあれば、なんだかわからないけれど、ムッとしているのであまり話をしないなんて日もあるでしょう。思春期の子供たちの感情はローラーコースターの様だと言われています。ある瞬間は、うれしいのに、次の瞬間はイラっとしたり、不安になってみたり...ホルモンの影響が大きいとも言われています。
思春期の子供たちは、アップダウンのあるローラーコースターそのものなのだ!と受け入れてしまえば、子供が会話をいつもよりもしない日があっても、子供を責めてしまったり、個人的に解釈してしまったりすることが少なくなります。自分の子供も大人になる為の一歩を進んでいるのだなと客観視できるようにもなってくるはずです。
子供たちの態度が変わったり、話をする回数が少なくなったりしていても、子供はいつでも親から認めてもらいたいという気持ちを持っています。ちょっと複雑な時期であるからこそ、親としてドンと構えている事でよいのです。Yさん自身、お子さんと会話を無理やりすることは必要はないと思います。でも、いつでも話を聞くからね!というスタンスを持っておくことは大事です。時折そんなことを子供に伝えてあげる事で、万が一、息子さんが話をすることが必要だと思った時に真っ先にYさんに相談することを気軽にできると思います。
そして、子供が感情的になっている場合に親として子供にできる事は子供たちが、自分の感情を認識し、なぜイライラしているのだろうか?なんで急に悲しくなってしまったのか?などと理解をする術を教えてあげることです。自分の感情を認識し、理解できる事はエモーショナルインテリジェンス(心の知能指数)を高めるスキルの一つでもあります。エモーショナルインテリジェンスが高ければ高いほど、人間関係もうまくいくだけではなく、成人になった時に会社などでもリーダーシップを発揮できます。
子供たちと一緒に、親も成長していく事でいいのです。思春期の子供たちの様々な日々の心の変化を受け入れることで、親としても何かを学ぶと思います。親子関係だからこそ、簡単に切れるものではありません。ちょっと会話がなくても、子供が返ってくるところは親元なのであまり寂しい気持ちに駆られずに、一緒に時間を過ごせる時をマインドフルに楽しみましょう。
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