長い夏休みも終わりいよいよ新学期、親子共々ドキドキしながら学校初日を迎えているのではないでしょうか?
新しい学年になる子供たちの成長とともに、親も成長したいものです。今月のアサコ先生にちょっと聞いてみよう!≠フコーナーでは毎月読者の方々からたくさんのご質問を受ける中、「秋になるとなんだか気分が暗〜くなります」というトピックを取り上げてみました。
●読者Yさんからの質問…アメリカ生活2年目での駐在員です。最近妻から指摘されたのですが、秋ぐちになるとなぜか気分がよくありません。仕事への意欲も減り、集中力もなく、ぼーっとしている時間が多いように思えます。妻いわく、日本に住んでいた時もこの時期になると鬱っぽかったといいます。僕自身では、認識していなかったのですが、去年は、気分が落ち込み、仕事にも影響があり大変な半年でした。今回は同じことが無い様にしたいと思い投稿した次第です。これって俗に言う季節性の鬱なのでしょうか?打つ手はありますか?
秋口から冬にかけて鬱の症状に悩まされている人は多いです。人によっては仕事が単に忙しく最近イライラしているだけかもしれないと思い見過ごす人もいますが、秋から冬にかけて気分が落ち込むパターンが数年続くようであれば、Yさんが疑問視している季節性のうつの可能性が強いかと思います。
季節性のうつの主な症状は、イライラ感が増える、やる気が減る、集中力の低下、性欲低下、人と会いたくない、疲労感、食欲増加、睡眠時間がとても長くなることです。一般的なうつ病では、食欲が減り、睡眠不足になりやすいのですが、食欲と睡眠時間の増加が季節性のうつの特徴です。パスタ、パン、ごはん、甘いものなど炭水化物をいつも以上に欲しがる傾向にあり、食欲が増え、体重も春・夏に比べて増えてしまうようです。やる気がなくなり、疲労感が増え運動する気がないけれど、食欲が増えて炭水化物を多く摂取してしまう為に体重が増えてしまうというダブルパンチです。
季節性うつの主な原因は日照時間不足の為だと言われています。特にシカゴでは冬の間の日照時間が減ります。光を浴びる時間が少ないと、脳内のセロトニンというホルモンの分泌が低下してしまいます。セロトニンは幸せホルモンといわれ気分を良くしてくれる精神安定のホルモンです。このホルモンが低下するとうつ病になりやすくなるようです。
私の主治医はこの季節、通常より多めにビタミンDを摂取しているそうです。自然からのビタミンDが減るので、錠剤で多目に取ることにより、セロトニン量の低下防止になり脳の働きを活発化させます。アメリカの他のリサーチでも、秋に向けてビタミンDを摂取することでうつ病が予防される発表しています。まずは、主治医にビタミンDのレベルを測ってもらい、低いようであれば、ビタミンDのの摂取を相談してはどうでしょうか?
直射日光に当たる事も大切です。とくに冬は室内にこもりがちですが、晴れた日に一日10分でも外に出て直射日光に当たりセロトニンの分泌を増加させましょう。この方法に効果が見られないときは、人口の光を作るライトボックスの利用でセロトニンの分泌増加が期待できます。この光は紫外線ではない為、目や肌には害がありません。朝に、30分から1時間程光にあたると効果がでると言われています。
そして普段から運動をする様に心がけ、秋になっても運動を続けてみましょう。そうする事によって脳のホルモンバランスが整います。抗うつ剤のお薬を投与する事も選択の一つかもしれません。お薬を飲む事により、脳のホルモンの分泌が増加して脳内のホルモンバランス改善となりうつ症状の低下に繋がります。カウンセリングで認知行動療法などを取り入れ、季節性のうつ病への理解、ストレスと上手く向き合える力を蓄えるスキル、そして鬱になるとネガティブになりやすい思考の理解と改善のスキルを身につける方法もよいかもしれません。
Yさんのご質問のように、季節性のうつ病への打つ手は上記の様にさまざまなアプローチがあります。まずは、主治医に相談してみては、いかがでしょうか? Yさんも今年は、心地よい生活ができることを願います。
これからもどんどんとご質問・ご希望などをお気軽にお寄せください。
AsakoHoichi@MindfulProfessionalCounseling.com
保市麻子