今回ご紹介するタパス料理のお店『Mercat a la planxa』は、Millenium ParkをMichigan Ave沿いに5分ほど南下したところにあります。地中海で採れる魚介類や農産物、保存食などを巧みに使ったスペイン料理の数々は、トラディショナルなタパス料理というよりも、あっと驚くようなひねりを効かせたコンテンポラリーなメニューが多く、どれも目と舌で驚きと感動を与えてくれます。それもそのはず、若き才能あるラテン料理のシェフとしてテレビでもお馴染みのJose Garcesが手がけていて、全てのお料理からは彼のオリジナルセンスと情熱が感じられると評判です。

レストランは2フロアに分かれていて、１階はお酒と軽い食事が楽しめるシックな雰囲気のバーラウンジ、そして２階がメインダイニングです。ダイニングルームはとにかく天井が高く、広い窓から差し込む優しい自然光が印象的。広々とした空間には、スペインの都、バルセロナのあるカタロニア州をイメージした、高級感のあるお洒落なデザインが施されています。

タパス料理を満喫するために、まずはスペインの代表的な飲み物、サングリアをオーダーしました。このお店では赤ワインだけではなく、白ワインのものや旬のハーブや果物を使った季節限定のサングリアもあります。今回は白ワインに梨とぶどう、それにローズマリーを加えた、さっぱりとした飲み口のホワイトワイン・サングリアをお願いしました。
爽やかなお酒に合わせて、まずはチーズ・メニューをチェック。チーズは牛、ヤギ、そしてヒツジのものと3種あり、それぞれにあわせたグルメ・ソース、青リンゴのスライス、それにパンが添えられています。取材班が注文したCadi Urgeliaは、さっぱりとした牛のチーズにシェリー酒を使ったキャラメル風ソースをつけて頂くもの。ソースはベーコンビッツのスモーキーな香りとシェリー酒の上品な甘さがいいアクセントになっていて、味わいのあるフレンチバケットに爽やかな青リンゴ、そしてチーズとのコンビネーションも抜群です。

トラディショナル・タパス・メニューからオーダーしたDatiles Con Almendrasは、アーモンドを詰めたドライ・デーツをベーコンで包んで焼いたもの。サーブされると同時に、温かいチーズソースをたっぷりとかけてくれるのですが、このソースがまた絶品！デーツの濃厚な甘みとアーモンドの芳しい香り、ベーコンのうまみ、それに濃厚なチーズソースが合わさり、素晴らしい味のハーモニーが広がります。ポーションはとっても小さいですが、味の満足度は高い取材班お勧めの一品です。
ベジタブル・メニューからは、ほうれん草を使ったEspinacas A La Catalanaをお願いしました。ゆでたての温かいほうれん草をレーズン、松の実、そして千切りにした青リンゴと一緒にして、ビネグレットソースで和えています。甘酸っぱいビネグレットソースは優しい甘みで食べやすく、ほんのりと漂うニンニクのいい香りも食欲をかき立ててくれます。フルーティーな青りんごや香ばしい松の実によって、とっても風味豊かに仕上がっていました。

シーフード・メニューから選んだCalamariは、清々しいパセリのペスト・ソースが絡まっていて、美しい色合いが目を惹きます。程よい柔らかさを残しつつも、プリッとした歯ごたえのあるカラマリの調理具合も◎。お好みでレモンを絞るとさらに爽やかな香りが広がり、食べやすくなります。
お肉の小皿料理からはスペインから直輸入しているという、お店のお勧めChorizoをオーダー。チョリソは新鮮な豚肉にパプリカなどの香辛料を加えて腸に詰めたもので、ほどよい辛味があります。独特の香辛料の香りと酸味、それに塩気がバランスよく、お酒がどんどんすすみます。
最後にフラットブレッド・メニューからGambas Con Garbanzosをお願いしました。ピタパンのような香りのあるフラットブレッドは、サックリ、そしてふんわりとした歯ざわりが最高。トッピングには酸味のあるトマトソース、ニンニクで香りよくソテーした海老、優しい味わいのガルバンゾー豆、塩気のあるチョリソ、それにピリッと辛い貝割れ菜がのっていて、さっぱりとした味わいです。

デザートには衣をつけて揚げたチョコレートボールに、バナナ・マシュマロとキャラメル・ソースを添えたユニークなCroquets De Xocolataをお願いしました。コロンとした形のチョコ・ボールの衣は確かにコロッケのような食感で、中からはリッチなチョコレートが溶け出してきます。バナナの優しい味わいのマシュマロはクリームのように柔らかく、バターを使った濃厚なキャラメル・ソースがとっても贅沢な味わいにしています。さらに刻んだローズマリーのスパイシーさと爽やかさが見事なパンチを加えていて、最後まで味覚を楽しませてくれました。

メニューのほとんどはアペタイザー的な小皿料理なので、たっぷり一品を食べたいという人よりは、お酒とちょっとずつ味わいたい人にぴったりのお店といえそうです。変わった素材の組み合わせやセンスよいプレゼンテーションなど、新しい発見のあるお料理ばかりなので、飽きることなく食事を楽しむことができました。また食事にあわせたお酒のセレクションも豊富で、美しい色合いのカクテルやバーボン、ウィスキー、スコッチ、シングルモルト、ブランデー、そしてコニャックなどのハードリカー、それにシェリー酒やポート・ワインなどのデザートワインまで多数揃えています。

（8/23/2010）

見た目も味も涼やかなホワイトワインのサングリアは、とってもフルーティー。	バゲットに青リンゴ、牛チーズをのせ、キャラメル風ソースをつけて頂くCadi Urgelia。	素晴らしい味のハーモニーが広がるDatiles Con Almendrasは絶対お勧めのおつまみ。
温かいほうれん草のサラダEspinacas A La Catalanaは青りんごや松の実入りで、とっても風味豊か。	清々しいパセリのペスト・ソースが絡めたCalamariは調理具合もバッチリ！	スペインから直輸入しているという、お店のお勧めChorizoはどんどんお酒がすすみます。
サックリ、そしてふんわりとした歯ざわりがいいフラットブレッドはお店の人気メニューの1つ。	デザートもオリジナリティーの溢れるユニークなメニューが一杯。こちらはCroquets De Xocolata。	カタロニア州をイメージした、高級感のあるお洒落なデザインが印象的なダイニング・ルーム。