再開発の進むシカゴのWest Loopに、シカゴでも珍しいお好み焼きを専門にしたレストラン「Gaijin」がオープンしました。オーナーシェフのPaul Virant氏は、シカゴでもTOP50に入るコンテンポラリーアメリカン・レストラン「Vie」の経営者でもあり、食材を活かした保存食の調理と、それらを取り入れた独自のメニューが高く評価されています。そんなPaul氏の奥さんが大阪へ交換留学している際に出会ったのが日本のお好み焼きで、その美味しさをアメリカにも広めたいという気持ちから、このお店をつくったそうです。「Gaijin」では本場の日本で修行を積んだPaul氏が手掛ける広島風のお好み焼きと、大阪風のお好み焼き、それにかき氷を食べることができます。

　お店の外壁にはカラフルな鎧を着た大きなサムライの絵が派手に描かれており、遠目からみてもインパクトがあります。その反面、店内は黒ですっきりとまとめられており、入口のそばに掲げられた「外人」と書かれたピンクのネオンサインがレトロな印象。テーブル席には日本のお好み焼き店のように鉄板がついていて、焼きたてのお好み焼きを温かいまま頂くことができます。また、カウンター席では目の前のガラス越しに、シェフがお好み焼きを作る様子を見ることができます。今回は活気のあるカウンターでいただいたのですが、シートが日本の飲食店でよく見かけるような座席部分を開くと荷物を入れられるタイプになっているので、上着やかばんなどの荷物を気にせず、快適に食事ができました。

　まずはドリンクにGaijin Toki HighballとYuzu、そしてRenewal and Hopeというカクテルを注文。ゆずウォッカを使用したユズ・カクテルは、甘さ控えめで後味がさっぱりとしていて、グラスに注ぐと青っぽい色から美しい薄紫色に変化します。Renewal and Hopeにはユズのお酒と桜を使った緑茶のシロップが使われており、上には卵の白身をつかったフワフワのメレンゲと色鮮やかな花が添えられています。うっとりとしてしまうような可憐なカクテルのプレゼンテーションに、取材班の気分も早速、盛り上がりました。

　メインのお好み焼きには、大阪風お好み焼き（タコ）と広島風お好み焼き（豚）をオーダー。メニューには3種類（エビ、豚ソーセージ、タコ）のミニサイズのお好み焼きを食べ比べ出来る、お好み焼きフライヤーがあるのですが、初めてお好み焼きを食べる方にはこちらが人気だそうです。シェフが手際よく作ってくれた大阪風のお好み焼きは、外はカリッと香ばしいけれど生地はしっとりと焼き上がっています。キャベツの甘さと柔らかな食感が最高で、上にパラリとかかった粗めの鰹節の独特の風味もよく、なかなか本格的。野菜と焼きそばを薄焼き卵のような薄い生地で挟んで焼いた広島風お好み焼きは、焼きそばの麺が少しべチャッとしているのと、豚肉が厚切りのベーコンのようだったのが気になりましたが、これはこれで悪くありません。

　今回はお好み焼きでかなりお腹いっぱいになったので、残念ながらシグネチャーのかき氷は大きすぎて断念したのですが、ワラビ餅粉を使ったきなこドーナツを最後にトライしました。揚げたてのドーナツはモチッとしていて黒蜜ときなこがかかっています。懐かしさ溢れる素朴な味わいですが、洋風のアレンジがきいていて、斬新なデザートでした。最後に店員さんが自家製のお漬物をサービスしてくれたのですが、甘いものの後の塩気がスッキリとした締めとなり、最後まで大満足。

　シカゴでも初のお好み焼き専門店ということで、日本人にはもちろんのこと、地元のアメリカ人や外国人にも人気のようで、お客さんもそれぞれに食事を楽しんでいる様子でした。熱々を鉄板で食べる楽しさや色んな具材でアレンジ出来る自由さ、甘めのタレがドンピシャのお好み焼きは、これからも多くの人に受け入れられそうですので、スシやテンプラ、ラーメンに続く人気の日本食として注目を浴びる日もそう遠くはないかもしれません。お店の周辺には話題のレストランや、バーが続々とオープンしていますので、お店をはしごするついでに立ち寄ってみてはいかがでしょう。

(07/26/2020)

キンキンに冷えたHighballでまずは乾杯！？	ゆずウォッカを使用したYuzuカクテルはグラスに注ぐと薄い青から美しい薄紫色に変わります	フワフワのメレンゲと色鮮やかな花が添えられた可憐なプレゼンテーションのRenewal and Hope
本場の味に負けないなかなか本格的な大阪風お好み焼き（タコ）	野菜と焼きそばを薄焼き卵のような薄い生地で挟んで焼いた広島風お好み焼き（豚）	3種類（エビ、豚ソーセージ、タコ）のミニサイズのお好み焼きを食べ比べ出来る、お好み焼きフライヤー
ワラビ餅粉を使ったモチモチのきなこドーナツには黒蜜ときなこがかかっています	食後にサービスで持ってきてくれた自家製のお漬物	カウンター越しにシェフがお好み焼きを手際よく作るところが見られます