シカゴ市内のRiver Northにオープンした『Slurping Turtle』は、『Takashi』という和風フレンチ・レストランのシェフとして名の知られる、Takashi Yagihashiさんが手がけた、新しいジャパニーズ・レストランです。ヤギハシさんはFood & Wineなどの雑誌でベスト・シェフに輝いたほど、グルメ界では定評のあるシェフ。このお店は、そんなヤギハシさんが子供の頃に食べた、コンフォート・フードである“ラーメン”を再現したい、という強い思いから開店に至ったそうです。メニューには自慢のラーメンの他に、焼き鳥や串焼きなどの小皿料理も充実しているので、居酒屋風の感覚でカジュアルにお料理を楽しむことができます。

まずアペタイザーにJumbo GyozaとCeviche、そしてBincho Grill のセクションからSunagimoとShishito Pepper、Miso marinated Black Cod、それにWashugyu をお願いしました。新鮮な子ダコや北海道産のホタテ、海老、それにイカを使ったセビーチェは、取材班が自信をもってオススメしたい前菜の1つ。香りの良いゆずドレッシングを絡めたシーフードはプリッとした食感もさることながら、さっぱりとした味わいで食欲がどんどんわいてきます。トッピングにスカリオンやピクルスなどをのせた餃子は、皮の部分はパリッとというよりは柔らかめの食感に焼き上げた、ちょっとユニークなもの。ピクルスの酸味が加わることで、日本の餃子ともチャイニーズの餃子とも違う斬新な味わいがあり個人的には気に入りましたが、変り種なので好き嫌いは分かれるかもしれません。備長炭で直火焼きをした砂肝の串焼きは、とっても大ぶりでボリュームがありますが、あまり塩が効いてなかったのと、運ばれてきた時にはすでに冷めてしまっていたのは残念なポイントでした。炭火の香りがほんのり漂うシシトウは、たっぷりとのった鰹節や醤油、それにレモン汁のおかげで、シシトウの苦味がいい感じに引き立ちさっぱりと食べられます。タラは柔らかい身に味噌ダレがしっかりとしみこんでいて、香ばしく焼けたお味噌の香りがたまりません。和州牛は柔らかいというよりは噛み応えのあるお肉で、噛むたびに肉のうまみが肉汁とともにジュワーと広がっていきます。サイドについてくる特製のタレやゆずコショウで味にアクセントをつけながら、食べるのをおすすめします。

メインには、ヤギハシさんがプロデュースしたラーメン・メニューの中からTonkotsu Ramenと Shoyu Ramenを選び、Chahan Combinationもオーダーしてみました。とんこつラーメンにはサヤエンドウや青梗菜、高菜のピクルス、それに柔らかく煮たチャーシューが入っています。豚骨をじっくりと煮てダシをとったコラーゲンたっぷりのスープは、コクがありながらも実にあっさりしています。脂分があまり感じられないサラッとしたスープなので、ちょっとパンチにかける気もしますが、太めの麺との相性は抜群です。東京スタイルの醤油ラーメンは、鶏ガラと野菜をベースにしたスープを使い、こちらもコクがありながらも全体的にはあっさりとしています。具にはゆで卵やメンマ、のり、チャーシュー、それにナルトなどが入っています。スープの温度や麺の固さなどを総合的に、日本で食べるラーメンと比べると若干違う気もしますが、どれも食べやすく満足できる美味しさです。コンビネーション・チャーハンにはカルビ肉やチキン、それに海老などが入っていて具がとっても豪華。香ばしい味わいがあり味付けもなかなかよいと思いましたが、取材班の中にはちょっと油っこさを感じた者もいたようです。

デザートにはAn Mitsu とGreen Tea Cream Puff、それにRed Beans Macaroonをオーダーしました。あんみつはアイスクリームを中心にトロリとしたあんこや寒天、フルーツなどをのせていて、食事をさっぱりと締めくくるにはピッタリ。大きめのサイズのシュークリームは３種類の中から抹茶フレーバーを選びました。パリッとしたシュー皮の中に入っているクリームはトロッと滑らかで、まろやかな甘さの中にグリーンティーのほろ苦さが効いています。フレンチ菓子の代表、マカロンもヤギハシさんのセンスが活かされた和の素材を使った個性的なフレーバーが勢ぞろい。6種類ある中からチョイスしたあずきは、モッチリとした食感と控えめな甘さで、日本人の口によく合います。

お酒類には日本各地から取り寄せた日本酒やビールはもちろんのこと、中西部にあるローカルの酒造で作られたビールなども置いてあります。今回は早めのディナー時に訪れたこともあって、ほとんど待つことなく次々にお料理がでてきましたが、出来あがった順に次々と運ばれてくるので、最初にアペタイザー、その次にグリル料理、そして最後にラーメン、などというように順序よく出して欲しい場合は、その旨を店員さんに伝えたほうがよいかもしれません。

(02/27/2012）

Jumbo Gyozaは普段食べなれている餃子とは一味違う、オリジナル・メニュー。	新鮮で食感のいいシーフードに、ゆずドレッシングを絡めたCevicheはおすすめ。	備長炭を使って焼いたSunagimoは、ご覧のとおり大ぶりのサイズ。
Shishito Pepperは薬味と一緒に、独特の苦うまさをシンプルに味わって。	香ばしく焼けたお味噌の香りがたまらない、Miso marinated Black Codは身がふんわりと柔らか。	肉汁とともにお肉のうまみが広がるWashugyuは特製のタレ、またはゆずコショウをつけてどうぞ。
Tonkotsu Ramenはじっくりと煮こん豚骨スープが自慢。コラーゲンがたっぷりです。	東京スタイルのShoyu Ramenも、コクがありながらもあっさりとしたスープが美味。	カルビ肉やチキン、それにエビまで入った、豪華な具材のChahan Combination。
さっぱり冷たいAn Mitsuは、食後を締めくくるのにぴったりのデザート。	ジャンボサイズのシュークリームは、全部で3種類のフレーバーがあります。	ヤギハシさんのセンスが活かされた個性的なマカロンの数々も、お見逃しなく。

ぷれ〜り〜記事「探せばあるある、美味しい、嬉しいあったかラーメン大集合！より」（20012年12月号）
長崎風のチャンポン	Slurping Noodle